暁 〜小説投稿サイト〜
失われし記憶、追憶の日々【ロザリオとバンパイア編】
原作開始前
第六話「兄は死地より蘇る」
[3/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
でも、アルカードを倒すことは――」


「出来るさ」


 そう、俺になら出来る。記憶が戻った今の俺になら。


「まあ、お袋たちはそこで見てな。あんたらの息子と兄がどれほど凄い存在なのかを。なんたって俺は――『規格外の人間』で『殲滅鬼』なんだからな」


 返事も待たず、瞬動でアルカードの元に向かう。とはいっても、本体は地下にいるらしいが。


「ふむ、なら出て来てもらいましょうか」


 地面に掌をつけた俺は館一帯を覆うように魔力を循環させ、そこからさらに複雑な術式を刻み込む。同時に並列思考でとある魔術も複数構築する。


「……よし。あとは座標をセットして、と。――〈空間跳躍〉」


 指導キーワードを唱えると、無色透明の魔力が青白く発光し、館を中心に描かれた巨大な魔方陣が浮き上がる。瞬間――、


 上空千メートルに巨体を蠢かしているアルカードが転移した。


「なっ!」


「うそ……」


 突然のアルカードの出現に絶句するお袋たち。間を与えずに次の魔術を行使する。


「――凍結解放、〈神縛・折重ね〉」


 宙に浮いたアルカードを虚空から出現した鎖が雁字搦めに縛り上げる。咆哮を轟かせて逃れようとするが、鎖はビクともしない。


「神すら縛る鎖だ。たかだか吸血鬼が逃れるわけがないだろう」


 それでも抗おうと身をよじるアルカードを冷めた目で見ながら、親指を噛み切り血を垂らす。


「貴様は俺の家族を傷つけた。その行為は死より重いと知れ……。肉片の一欠片、塵の一つすら残さん」


 ――確実に、完膚なきまでに、魂すらも屠るために、ある程度のダメージを与えよう。


「起きろ。古の契約文をここに捧げる。汝、奈落の劫火でもって我が外敵を駆逐せよ。【炎帝】イフリート召喚!」


 垂らした血が魔方陣を形成し、異界の魔神を呼び起こす。炎を司る魔神であるイフリートは自身の周りに炎を取り巻きながら、この世界に顕現した。


 アルカードと勝るとも劣らない巨体を誇るイフリートは、ギラギラした双眸を眼前の敵に向けている。


 振り上げられる筋骨隆々の右腕。〈神縛・折重ね〉によって身動きが取れないアルカードに振り下ろされた。灼熱の炎を纏った右腕はアルカードの巨体の何割かを焼き尽くす。大体これで全体の約四割ほどのダメージは与えられたか。


 イフリートに感謝の念を送り異界に還した俺は掌をアルカードに向ける。


「今の貴様ではこれに耐えきれるだけの力はないだろう」


 掲げた掌に巨大な魔方陣が三重に展開される。それらが回転し始めると、魔方陣の中央に光球が現れた。


「終わりだ。――凍結解放、〈ディルワン
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ