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失われし記憶、追憶の日々【ロザリオとバンパイア編】
原作開始前
第六話「兄は死地より蘇る」
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でも、アルカードを倒すことは――」
「出来るさ」
そう、俺になら出来る。記憶が戻った今の俺になら。
「まあ、お袋たちはそこで見てな。あんたらの息子と兄がどれほど凄い存在なのかを。なんたって俺は――『規格外の人間』で『殲滅鬼』なんだからな」
返事も待たず、瞬動でアルカードの元に向かう。とはいっても、本体は地下にいるらしいが。
「ふむ、なら出て来てもらいましょうか」
地面に掌をつけた俺は館一帯を覆うように魔力を循環させ、そこからさらに複雑な術式を刻み込む。同時に並列思考でとある魔術も複数構築する。
「……よし。あとは座標をセットして、と。――〈空間跳躍〉」
指導キーワードを唱えると、無色透明の魔力が青白く発光し、館を中心に描かれた巨大な魔方陣が浮き上がる。瞬間――、
上空千メートルに巨体を蠢かしているアルカードが転移した。
「なっ!」
「うそ……」
突然のアルカードの出現に絶句するお袋たち。間を与えずに次の魔術を行使する。
「――凍結解放、〈神縛・折重ね〉」
宙に浮いたアルカードを虚空から出現した鎖が雁字搦めに縛り上げる。咆哮を轟かせて逃れようとするが、鎖はビクともしない。
「神すら縛る鎖だ。たかだか吸血鬼が逃れるわけがないだろう」
それでも抗おうと身をよじるアルカードを冷めた目で見ながら、親指を噛み切り血を垂らす。
「貴様は俺の家族を傷つけた。その行為は死より重いと知れ……。肉片の一欠片、塵の一つすら残さん」
――確実に、完膚なきまでに、魂すらも屠るために、ある程度のダメージを与えよう。
「起きろ。古の契約文をここに捧げる。汝、奈落の劫火でもって我が外敵を駆逐せよ。【炎帝】イフリート召喚!」
垂らした血が魔方陣を形成し、異界の魔神を呼び起こす。炎を司る魔神であるイフリートは自身の周りに炎を取り巻きながら、この世界に顕現した。
アルカードと勝るとも劣らない巨体を誇るイフリートは、ギラギラした双眸を眼前の敵に向けている。
振り上げられる筋骨隆々の右腕。〈神縛・折重ね〉によって身動きが取れないアルカードに振り下ろされた。灼熱の炎を纏った右腕はアルカードの巨体の何割かを焼き尽くす。大体これで全体の約四割ほどのダメージは与えられたか。
イフリートに感謝の念を送り異界に還した俺は掌をアルカードに向ける。
「今の貴様ではこれに耐えきれるだけの力はないだろう」
掲げた掌に巨大な魔方陣が三重に展開される。それらが回転し始めると、魔方陣の中央に光球が現れた。
「終わりだ。――凍結解放、〈ディルワン
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