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失われし記憶、追憶の日々【ロザリオとバンパイア編】
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第六話「兄は死地より蘇る」
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「このアルカードという魔物は生命力が強すぎて私たちでは殺せないの。三大冥王と呼ばれる前の時代に戦った時も弱体化させて眠らせることが精一杯だった……。だから、こいつの動きを止めるには、自ら喰われて体内から封印を施して再び眠らせるしか方法がないの」
――なに、こいつがアルカード? いや、それよりもお袋が喰われるだと!? くそっ、そんなことがあってたまるものかッ!
彼我の距離は百メートル。あともう少しだ、間に合え!
「え――?」
「もう、二度と戻ってくることは出来ないわ」
愕然とする萌香。言っている意味を理解したのか、涙と鼻水を流しながらお袋に懇願した。
「やだ、何を言っているの……? もう、どこにも行かないでよ……お別れなんてやだよぉ……!」
お袋が嗚咽を洩らしながら、萌香のロザリオに妖気を込めた指先を向ける。
「ごめんね……ごめんね、萌香……!」
指先がロザリオに触れようとした、まさにその時――。
――アルカードが、俺の射程圏内に入った!
「――凍結解放、星屑の煌めきぃぃぃぃ!!」
突き出した掌から打ち出された極太の光線がお袋と萌香、そして触手たちを呑み込む。滅の魔術に分類される光の奔流はお袋と萌香を除き、そのすべてを消滅させた。
アルカードの手首から先が消滅したのを確認し、瞬動によって急加速した俺は落下する萌香たちを受け止めて跳躍。呆然とした姿で佇む亞愛の元に着地した。
「に、兄様……?」
信じられない、といった顔でこちらを見つめる妹に微笑む。
「久しぶり――でもないか。無事なようでなにより」
「な、なんで生きてるの? あなたは、私がこの手で……」
「死んでやるほど、お人よしではないんだな、これが。可愛い妹を残して死ねるわけがないだろう?」
そう言って妹の頭をくしゃくしゃっと撫でると、亞愛の顔が歪んだ。
「あなた、千夜なの……? 本当に……?」
膝をついたお袋も呆然とした様子で俺を見上げている。萌香の方は先程の俺の魔力に中てられたのか、気絶していた。
「ああ。正真正銘、朱染千夜だよ。あんたの息子さ」
「――っ! 千夜!」
感極まったお袋が俺を抱き締める。歓喜と安堵で肩を震わせるお袋の背中をポンポンと叩いてやりながら、空を見上げた。
――帰って来たんだな、またこの世界に……。
「ぐすっ……それにしても、どうして生きているの? あなたは人間なのに」
「あー、まあそれについてはまた後で話すよ。今はまだすることがあるだろう?」
「それもそうね。
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