第4章 聖痕
第47話 東薔薇騎士団副長
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がら、そう告げる俺。
そう。コイツはアルタニャン伯爵家の長子と言う振れ込みで、東薔薇騎士団団長ドートヴィエイユに取り入り、何の功績を上げたのかは知らないけど異例の出世を遂げ、今では騎士団の副長を務めては居ます。……が、しかし、その実は、ガスコーニュ地方の貴族とは名ばかりの家の、更に爵位を継ぐ事の出来ない次男に過ぎない人間。
まして、先ほどの台詞から考えると、騎士に相応しい人格の持ち主でも無さそうな雰囲気ですから。
何故なら、自らが禄を食んでいる国の王を簒奪者呼ばわりした挙句、王弟の娘に、自らの王で有り、伯父で有る相手を弑逆しろと唆すようなヤツですから。
これ以上、低俗な人間はそういないでしょう。
まして、オルレアン大公暗殺に現王は関与していない。前王は間違いなく、長子。つまり、ジョゼフを後継指名している。オルレアン大公は王位を望み、自らの王位を後押ししてくれる貴族達に対して空手形の地位を約束していた。
これでは、簒奪者と呼ぶべき相手を間違っていると俺は思いますよ。
「騎士とは高潔で有るべき。貴様は、どう考えても鼠賊と言う程度の存在らしい。少なくとも、自らを騎士として任じてくれた国の王に対しては忠誠を誓うのが騎士の有るべき姿ではないのか」
こいつに欠けているのは忠誠心。自らの生活の場、糧で有る故国への愛国心。そして、封主に対する厳格な服従。つまり、騎士に任じて貰っている現ガリア王に対する忠誠心。
もし、こいつの身分が、現状では騎士団副長でも無ければ、騎士でさえない、ガスコーニュから出て来たばかりの田舎者ならば、こいつの言を俺は受け入れたと思います。
但し、当然、タバサの護衛を担うと言う部分のみで有って、今の王。自らの伯父を殺して、その王位を奪え、などと言う人の道に外れた行いを肯定してやる心算は有りませんが。
しかし、今は、彼の身分や立場がそれを許さない。
「昔。俺が知っている国で、後に関白。ガリアで言うなら主席国務卿にまで昇り詰める豊臣秀吉と言う人物がいた」
突如、俺が意味不明な事を話し出す。完全に、タバサを自らの右肩の後ろに置き、不意を衝いて彼女を人質に取る事も出来ないような立ち位置に身を置いた後に。
もっとも、当然のように夜間の戦闘を想定して有りましたから、彼女には普段通りの装備は施して有ったので、完全な不意打ちを行う事は、ほぼ不可能だとは思うのですが。
「そして、彼の当時の主君で有る織田信長と言う人物が、本能寺と言う場所で、彼と同じ家臣の位に有る明智光秀と言う人物の謀反に合い果てた。
その報せを聞いた際に、秀吉の参謀で有った黒田如水と言う人物が、御運が開かれましたな、……と口にした。自らの主が死亡した不幸な出来事を。
そして、それ以降、黒田如水は秀吉から警戒され
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