第4章 聖痕
第47話 東薔薇騎士団副長
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そう。もし、この任務の最中に、イザベラやタバサに何か不測の事態が起これば、この目の前の騎士の責任問題に発展する可能性が有る以上、わざわざタバサに申し出る必要性など感じないのですが。
もしも、不測の事態により彼女らに某かの害が及べば、任務を遂行する上での能力に欠けていた、と言う理由で彼の責任問題が浮上するはずですからね。
タバサの使い魔の俺や、影武者役で、本来は存在しないはずの北花壇騎士団所属の騎士のタバサに表立った責任が追及出来ない以上は……。
取り敢えず、よく判らない事態ですが、開いたままに成っている扉を閉じる俺。
はっきり言うと、彼、アルタニャン卿の意図が判らないので、俺としてはどう対応して良いのか判らないのですが……。
彼自身が、何か黒い欲望のような物を心の奥深くに隠し持って居る事だけは確か……なのですが。
「わたしはもう殿下ではない」
そんな、アルタニャン卿の言葉に対して、タバサが当然の答えを返した。まして、彼女の目的は貴族としての生活を取り戻す事ではない以上、殿下などと呼ばれたトコロで喜ぶとも思えませんしね。
アルタニャン卿が、少し悔しそうに首を振る。そして、
「シャルロット様は何時までも我らの姫殿下で御座います。東薔薇騎士団一同、変わらぬ忠誠をシャルロット様に捧げて居ります。昨日より、失礼な態度を終始貫いたのは、王権の簒奪者の娘に対して、我が心の内を悟らせない為の演技に御座います」
非常に危険な台詞を口にする。そして、おそらくは、その言葉を告げる為に俺の存在が邪魔だったのでしょう。
そう、現王を王権の簒奪者と。そして、王女をその娘だと表現した、不敬極まりないこの言葉を。
……これはかなり危険な状況です。対応を誤ると、タバサは未だしも、彼女の母親の生命は明日にも消えて仕舞う可能性もゼロでは有りません。
そう考え、タバサの前に跪く、東薔薇騎士団副長を見つめる俺。
このシャルル・アルタニャンは、ウカツな味方か、それとも、タバサの忠誠心を試す為に王家が送り込んで来た間者か。
どちらにしても、俺ならば、間違いなくこの場でこのウカツな男の首を刎ねて、本物のイザベラの部屋に放り込みます。
獅子身中の虫を駆除したと告げて。
そう俺が考えた時、矢張りタバサは少し、瞳を閉じて首を横に振る。そして、
「わたしはもうシャルロットではない」
普段通りの口調で、そう答えた。表面上は変わらず。但し、かなり不快な気分である事が霊道で繋がっている俺には分かる状態で。
成るほど。流石に、タバサは頭が良い。こんなウカツな誘いに簡単に乗るようなマネは為さないか。
古来より、大望を抱く人間に取って一番危険なのは強大な敵ではない。それはウカツな味
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