第4章 聖痕
第47話 東薔薇騎士団副長
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これは、俺が何と言おうと、タバサの言葉でひっくり返す事が出来ると思っているから。
しかし、タバサはゆっくりと首を横に振った。
まして、これは当然。現在は、ジョゼフ王が自らの父の暗殺に関わっていない事がはっきりとしていますが、以前。その事実が判らなかった時でさえ、彼女は父親の仇討ちに関しては否定していたのです。
そんな人間に、女王にしてやるから現在の王を弑逆しろ、と囁いたトコロで拒絶されて当然でしょう。
更に、今のトコロは、そのタバサ自身がガリアに仕えている騎士で、自らと、母親の生活の糧を得ているのは、そのガリアが支給してくれている給与です。
初めから、彼女の騎士と言う身分が、アルタニャンの申し出を受け入れる事が出来ない立場だったと言う事なのですけどね。
真面な騎士道に従って生きて居る騎士ならば。
シャルル・ド・バツ=カステルモールが、絶望に近い表情を浮かべる。この男の目的が本当に第二のオリバー・クロムウェルに成る事なのか、それとも、別の物かは判りませんが、少なくともタバサがガリアの王を弑逆する心算もなければ、彼を身近に置く心算もない事は理解出来たでしょう。
「状況が理解出来たのなら、さっさとここから去れ」
もうこれ以上、何をどう言っても意味は無い。まして、こいつのような騎士失格の人間をこれ以上、タバサの周囲に置いて置きたくはない。
それにしても……。
……やれやれ。この世界の支配階級は、地球世界の中世ヨーロッパを支配した貴族共よりはマシかと思っていたけど、どうやらそう言う訳でもなさそうな事は理解出来ましたよ。
所詮、人は人。陰と陽が混じり合い、バランスが取れて居て初めて人として存在して行ける存在。
この世界にやって来てから俺が出会って来た人間は、どちらかと言うと、善良な人間の方が多かったと言うだけの事でしょう。
しかし……。
「所詮は、最後の最期に臆病風に吹かれた男の娘か。折角、大国ガリアの女王にしてやろうと言う俺の好意を無にするとはな」
それまでの忠臣を装っていた演技を捨て、彼が最初から発して居た雰囲気そのものの台詞を吐き出すシャルル。
もっとも、故に、驚きにも値しないのですが。
「貴様も、エリックと名乗っていた殺人祭鬼と同じか」
俺は意外に冷静な声で、そう問い掛けた。徒手空拳。身ひとつで、帯剣した状態のアルタニャンとタバサの間に立ちながら。但し、声音、そして、雰囲気ほど落ち着いていた訳では有りませんでしたが……。
何故ならば、こいつを排除した後、イザベラを連れてこの屋敷を脱出する。その困難な任務について、現在、足りない頭を総動員して想定を繰り返していましたから。タバサだけなら簡単に連れ出す事も出来るのですが。
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