第4章 聖痕
第47話 東薔薇騎士団副長
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科学力、及び文化的な成熟度しか持たない世界で、このガリアと言う国の持って居る情報の伝播して行くスピードは、やや異常とも思えるのですが……。
まして、その情報が、王家に取っては有利と思われる情報を乗せて、潰された貴族の悪行と、その潰された結果の無残な末路を面白おかしく、誇張を交えて伝えているのは……。
そして、そのウワサ話の中には、オルレアン大公家に関する情報は……。
そんな、タバサの使い魔に過ぎない俺が気にしても仕方のない事を考えながら進む事、約三十分。やがて、停まる馬車。
王女一行の到着を告げる一際大きな男性の声の後、一瞬の沈黙。
そして、その一瞬の溜めの後、それまで以上のボリュームの歓声が沸き起こった。
まるで、その瞬間を待ち構えていたかのようなタイミングで、外側より開かれる馬車の扉。
先ずは、警護を担当するアルタニャン卿が王女一行の出迎え用に敷かれたレッド・カーペットの上に降り立ち、そして、侍女、俺と続き、最後にイザベラが登場した瞬間に、周辺を埋め尽くす民衆に因って最も大きな歓声が上げられた。
その歓呼の声に応えるように、軽く手を振るイザベラ。
そんな王女一行を出迎えたのは、壮年……と言うには失礼に当たりますか。どう見ても三十歳には届いていない、金の髪を持つ、青年貴族と言う雰囲気の人物でした。
「私の如き若輩者の為に、わざわざこのような田舎まで御越し頂いて、恐悦至極に存じます」
そう口上を述べた後、貴族風の礼を行う青年。そして、そっと差し出したタバサの右手の甲にくちづけを行った。
仕立ての良さそうな派手なジャケット。その内側にはこれまた派手なベスト。そして、膝丈のキュロットと言う、貴族に相応しい、俺の感想を言わせて貰うとかなり悪趣味な出で立ちと、貴族には少し相応しくない。いや、ある意味、人の上に立つに相応しい引き締まった身体。少なくとも、トリステインの街中で見かける、だらしない体型の貴族とは一線を画する存在で有るのは間違いない相手。
但し、その人物からは、アルタニャン卿と同じ嫌な雰囲気。人を貶めてやろう、とか、騙してやろうと思って近付いて来る人間独特の陰の気を、俺は感じていたのですが。
矢張り、タバサをこんな、面従腹背のような貴族世界に置く事は出来ない、と改めて感じさせられる瞬間、及び、その相手の登場。
「イザーク。そのような挨拶は後でも良かろう。それよりも早く、イザベラ姫を屋敷の中へ案内して欲しいのだが」
まるで、仲の良い友人に対して話し掛ける雰囲気を装い、シャルル・アルタニャン東薔薇騎士団副長がそう、その青年貴族に対して語り掛ける。
但し、彼が実際に発して居る雰囲気は、そのような陽に分類さ
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