第七十九話
[1/15]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
甘粕が予約した宿舎は中々広い露天風呂で、少し時間は早いが使わせてもらい、アオ達は旅と戦いの疲れを癒した。
男風呂に一人だったアオは少し早めに風呂から上がると、一人廊下を歩き部屋へと戻る。
そろそろ部屋に到着すると言ったとき、メガネをかけたショートの赤毛の髪をしたスーツ姿の外国人とすれ違う。
観光地だから別に外国人が珍しいわけではない。だが、観光に来たと言う雰囲気ではないなとアオは思った。
すれ違う一瞬、此方に視線をよこした気配がしたが、面識も無かったのでアオはスルーして部屋へと入る。
この部屋は大部屋で、甘粕、翠蓮、後は翠蓮の弟子である陸鷹化を除けばこの部屋に宿泊する予定だ。
部屋の奥にある机の上に備え付けであるはずの無いバスケットが一つ置かれている。
下山して、途中の店で見つけたバスケットにタオルを敷いたそこに、アーシェラが寝息を立てて横たわっていた。
様子を見ようと覗き込むとパチリとその目が開き、首を上げた。
「気分はどう?」
外傷もオーラの流れも問題は無いし、ユカリとのラインもしっかりと出来ていた為に後は目覚めるのを待つだけだったのだ。
「悪くは無い」
と、蛇の姿でアーシェラが答えた。
「ただ、心の中に何か暖かい物を感じる…これは…」
「少しだけど、使い魔になった事でアーシェラと母さんは精神リンクしている。それは母さんの感情の一部だよ」
「…そう…か」
何やらアーシェラは少し戸惑っているようだ。
そんな時、引き戸が引かれ、ユカリ達が部屋へと入ってくる。
ザザーッ
「あら、アーシェラちゃん起きたのね」
ユカリは起きたアーシェラを確認すると近寄り安堵の声を上げた。
「あ、本当だ」
「外傷は無いし、オーラの過剰流出も止ってる。もう大丈夫ね」
なのは、ソラも寄る。
「皆でそんなに見つめたらアーシェラさんも気分悪くなるんじゃ」
「そうだよ。病み上がりなんだから」
と、シリカ、フェイトに窘められてなのはとソラは距離を開けた。
アテナと翠蓮は我関せずと用意された酒類を開けている。
「それで、妾にそなたは何をさせたい?妾は何をすれば良い?」
「別に何も。…と言いたい所だけど、とりあえずこれから家の家事の半分は手伝ってもらおうかしら」
他は別に何処で何をしようと自由よとユカリは言う。
「家事などやった事は無い」
「それはこれから覚えればいいのよ。教えてあげるわ」
こうしてアーシェラはユカリの家で家政婦のような立場で生活をする事になる。
余談だが、生まれたアオの子守やおしめを変えるなどと言う雑事もこなしていたので、未来ではベビーシッターもその内容に含まれたと言う事だろう。
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ