ララバイ編
EP.11 黒き閃光
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術眼で相手の出鼻を挫く。時には死角から姿を見せる事無く、時にはそのスピードで翻弄しながら敵を撃つ。対峙した者が目にするのは、黒髪が残す残像と、“魂威”による一瞬の光のみ。だからワタルは “黒き閃光”の異名を取っているんだ」
「エルザ、説明オイラの役目だよ〜!」
「“黒き閃光”……。確かにあたしには見えないし……やっぱり凄いんだなぁ……」
今のルーシィに見えているのは……その異名通り、黒い残像と光のみだった。呪歌の体に小さな傷が幾つもできていることから、呪歌の近くにいるのだろうが……姿は見えないのだ。
因みに、エルザに割り込まれたハッピーは涙目になって抗議をしていた。
「……ところで、エルザ……」
「何だ、ハッピー?」
「ワタルの事になるとエルザって饒舌だよね、それってやっぱモガガガガ……!」
「……ん? ルーシィ、お前も何か聞きたいのか? うん?」
「いえ、なんでもありません!!」
ハッピーの出歯亀精神を圧し折ったのは、エルザの容赦ないアイアンクローだった。
もちろん、それを目の当たりにしたルーシィには、それ以上踏み込む度胸は無く、ただ従った。
まあ、それはそれとして……ワタルの方も、戦況が動こうとしていた。
『ええい、ちょこまかと……!』
――……決定力不足だな……切っても、片手の“魂威”でも……この巨体だ、ダメージは少ない。
張り付けば大きな攻撃は喰らわないものの、こちらも小ぶりな攻撃しか出せない。そのため、幾つか呪歌の体に穴をあけてはいるが、倒れる様子は無かった。
「だったら……これでどうだ!?」
忍者刀から鎖鎌へ換装。スピードは遅くなったものの、五感の強化によって攻撃を躱していき……隙を見つけた。
「ッ、そこだ!」
『!? 上ってきた!?』
肩に上って、鎌を呪歌の口に引っ掛けると、全力で呪歌の後方へジャンプして、鎖を引っ張る。
そうすれば当然……
「うおらああぁぁあ!!」
『グッ、後ろに……ウオッ!?』
「あの巨体が……倒れた!?」
呪歌の巨体は後ろに倒れた。いわゆるアオテンだ。
そしてそれは……又とない程の攻撃チャンスだった。
「今だ! “魂威・爆”!!」
カッ……ドゴオオォォォン!!!
『ゴォアッ!?』
“魂威”による光が一瞬光った後、呪歌の胴体で爆音が響いた。
“魂威”とは、魔力を放出、もしくは直接流し込む技である。そして“魂威・爆”とは、流し込んだ魔力を、体内で爆発させる、という殺傷能力の高い危険な技なのだ。
“魂糸縫合”と同じ、とまではいかないが、それなりに集中力と繊細なコ
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