第六章
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「黒ミサよ、今から」
「だから黒ミサですよね」
「それで何で剣道部なんですか?」
「何言ってるのよ、黒ミサは本来はパーティーだったじゃない」
古代のキリスト教では異教とされた宗教、多神教の信仰に基く宴を魔女達が隠して行ったものが黒ミサとされている。ワーグナーの楽劇『ローエングリン』の魔女オルトルートは北欧神話の神ウヴォータンの僕だった。
魔女の正体は多神教の巫女達だったとも言われている、その宴だからだというのだ。
「だから男の子も一杯呼んでね」
「パーティーするんですか?」
「そうするんですか?」
「ええ、そうよ」
その通りだと返す智秋だった。
「これでわかってくれたかしら」
「ううん、黒ミサがパーティーなのはわかってきてましたけれど」
「それでも」
「まあ読むより中に入れよ」
書より現実だというのだ。
「わかったわね。それじゃあね」
「剣道部の子達とですか」
「今からここで」
「楽しく遊ぶわよ。校則の範囲内でね」
こうしたことには真面目な智秋だった。
「食べて飲んで踊ってね」
「じゃあやっぱりあのお窯の中にあるのって」
「緑色の」
「やあ、お待たせ」
二人の疑惑が確信になろうとしたところでその剣道部員達が入って来た、皆剣道着を着ている。
「お菓子はこっちで持って来たからさ」
「お茶はあるよな」
「ええ、あるわよ」
智秋がにこりと笑って応える、そしてだった。
彼女はあの窯を右手で指し示した、そのうえでの言葉は。
「あそこにたっぷりとね」
「よし、じゃあ今から剣道部と魔術部の合コンな」
「飲んで食べて歌うか」
「楽しませてもらうぜ」
彼等は笑顔で魔術部の面々の中に入った、そしてだった。
その黒ミサがはじまった、智秋のそこだけは魔女めいた挨拶とはじまりの後はまさに合コンそのものだった。
その中で繪里子と麻美はこう話した。
「予想はしてたけれど」
「そのままだったわね」
「そうね。そのまま合コンじゃない」
「これって」
「その通りよ」
まさにそうだと智秋も二人で言う、その周りには剣道部の一年の子達を二人従えている、やはり年下趣味の彼女だった。
その彼女がこう言うのだった。
「だから何度も言ってるでしょ」
「ううん、魔女も黒ミサも」
「そういうものなんですね」
「そうよ。魔女は楽しいものよ」
これもまた智秋の持論である。
「じゃあ二人共ね」
「はい、わかりました」
「それじゃあ」
二人も頷いてそうしてだった。
今時の女子高生らしく合コンを楽しんだ、その後で。
二人で下校中にこう話したのだった。
「何か。異端審問とかは明らかに間違ってるって思うけれど」
「それでも実際の魔女ってね」
「結構身近っていうか世俗的っていう
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