第五章
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「いらっしゃい、すぐに着替えてね」
「魔女の服にですよね」
「それに」
「そうよ。そうしてね」
そのうえでだというのだ。見れば智秋の後ろにはこうした話には付きものの黒い雄山羊の頭に翼を持った半人半山羊の像がある、ただし胸は上着がかけられて隠されている。
その像を後ろにした智秋の足元は魔法陣である、部屋には巨大な窯もあり緑色の液体がぐつぐつと煮られている。
そうした如何にもといった中で智秋は二人に言う。
「これから凄く楽しいから」
「あの、これから一体何があるんですか?」
「黒ミサっていいますけれど」
「面白いことよ」
黒ミサ自体がそうであるというのだ。
「だから楽しみにしててね」
「あの、悪いこととかじゃないですよね」
「退学になるとかじゃ」
「退学になる様な部活が存在を許される筈ないでしょ」
当然と言えば当然のことだった。
「幾ら何でも」
「はい、やっぱりそれは」
「流石にないですよね」
「ないわ。校則に引っ掛かるものじゃないから」
それは安心していいというのだ。
「だから安心してね」
「ええ、そえじゃあすぐに着替えます」
「魔女の服に」
二人は智秋の言葉に頷いた、そしてだった。
部室の隅で着替えだした、その中で窯を見る、窯は今は火を止められている。
その窯の中の緑色のものを見て麻美は繪里子に言った。
「ひょっとしてね」
「ひょっとしてって?」
「これお茶じゃないの?」
非常にオーソドックスな飲み物の一つだ。
「緑茶じゃないかしら」
「えっ、お茶って」
「何かいい香りがするし」
しかもその香りがだった。
「お茶の香りじゃないかしら」
「?言われてみれば」
繪里子もここで気付いた、その匂いに。
「そうよね」
「でしょ?まさかと思うけれどね」
「けれど黒ミサよね」
「黒ミサっていったら」
その怪しい雰囲気を楽しむものだ、それでなのだった。
繪里子にしてもこう言うのである。
「お茶はないわよね」
「しかも緑のお茶っていうと」
「緑茶かお抹茶だけれど」
「ジャパネスクよね」
「ええ、日本よね」
緑の茶といえば日本だ、赤ならイギリスかロシアだ。
それで繪里子はまた言うのである。
「黒ミサじゃないわよね」
「ううん、違うと思うけれど」
「幾ら何でも黒ミサに日本はないから」
それで二人も窯の緑のものが何なのか不思議に思った、だが二人はその間に魔女の服と帽子を着た、ちゃんと箒も持った。
二人の用意が出来ると丁度いいタイミングでだった。
智秋が笑顔でこう言ってきた。
「相手も来るわよ」
「相手?」
「相手っていいますと」
「今日は剣道部よ」
「剣道部に黒ミサ!?」
「あの、何がどうなってるんですか!?」
智
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