第三章
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「そのうえで楽しく参加してね」
「わかりました、じゃあ宜しくお願いします」
「これから」
こうして二人は魔術部に入った、その部活は普段は魔術の歴史やその種類の勉強という比較的地味なものだった、読む資料は学園内のオカルト関係の本の他には。
ファンタジー小説の類もあった、繪里子はその中の指輪物語を読みながらアーサー王の魔術師マーリンの伝記を読む麻美に言った、場所は学園内の図書館で他の魔術部の面々も一緒にいて読書に励んでいる。
「ねえ、魔術部ってね」
「読書部みたいっていうのね」
「それかファンタジー研究会」
それに近いのではないかというのだ。
「そんな気がするけれど」
「言われてみればそうね、ただね」
「ただって?」
「うん、部長さんだけれど」
智秋もいる、彼女も本を読んでいるがそれと共にノートも出してそこに色々と書いていた。
麻美はその彼女を見ながら繪里子に言った。
「何か熱心に勉強されてるわね」
「そうね、何かしらね」
繪里子もその智秋を見て首を捻る。
「一体」
「別に悪いことじゃないにしても」
「一体何かしらね」
「それね」
首を捻ってまた言う麻美だった。
「それが気になるわね」
「ううん、やっぱり魔術のことよね」
二人もそのことであることは容易に察しがついた。
「そのことはわかるけれど」
「お空飛ぶ部活じゃないし」
このことは今の読書での研究でも分かることだった、みんなそれぞれ読んだ本は感想や検証をレポートにして出して皆で読み合うことになっている。
「じゃあ何かしら」
「ううん、お薬?」
麻美はこう予想した。
「それかしら」
「お薬ね」
「そう、それとか」
「毒薬じゃないにしても」
繪里子は熱心に読んで書いている智秋を見ながら言った。
「何か妖しいお薬」
「エリちゃんもそう思う?」
麻美は繪里子をこう呼んでいる、繪里子は麻美を『麻美ちゃん』と呼んでいる。
「やっぱり」
「部長さんって何かね」
「妖しいのよね」
「怪しいじゃなくてね」
発音は同じだが言葉の意味は違っていた。
「そっちなのよね、部長さんって」
「ううん、一体何を勉強されてるいのか」
「それが気になるわね」
二人でそれぞれ話しながら読んでいた、そして。
部活が終わる時間になると智秋は自分の席から立ち上がって部員達に対してこんなことを言ってきたのだった。
「決まったわよ」
「あっ、黒ミサの時がですね」
「決まったんですね」
繪里子と麻美以外の部員達がその言葉に声をあげる。
「それで何時ですか?」
「何時やるんですか?」
「相手と連絡してだけれど」
それでも決まったというのだ。
「来週の水曜のね」
「部活の時ですね」
「その時にですね」
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