ララバイ編
EP.10 X784年、物語の始まり
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「2週間ですよ、マスター。お帰り、ワタル。どうだった?」
マカロフの問いに答えたのは、ギルドのウェイトレスをしているミラジェーンだった。
嘗ては“魔人”と呼ばれた彼女だが、2年程前に妹のリサーナを亡くしたショックから魔力が枯れ、元の実力を発揮する事が出来なくなってしまい、若くして引退してしまったのだ。
「ただいま、ミラ。上々だ。運よく全員が集まって集会やってたみたいだったから、そこを襲撃して一網打尽。……そういえば、エルザは?」
「さすがね。……エルザも仕事よ、魔物の討伐。……心配?」
「いや……逆に魔物の方が可哀想になって来るよ。……この調子だと、いつか本気で相手してやらないといけなくなるかもな」
ワタルは苦笑しながらそう答えると、ミラジェーンは溜息をついた。
「もう少し心配してあげてもいいと思うけどなぁ……」
「心配するだけ無駄だろ? あいつは強いんだから」
「まあ……エルザの事は置いといて……よくやったな、ワタル。……さて、少しよいか?」
「ええ、なんです?」
「定例会がもうすぐあるのじゃが……お前についてきて欲しいのじゃよ」
「……他の人は……仕事か。……了解です。急ですが、お供しましょう」
「うむ。すまんな」
ワタルはそう言うと、軽く食事を取り、自宅に戻った。
翌日、ワタルはマカロフと共に、定例会の会場があるクローバーの町に向かった。
そのさらに翌日……。
「ナツ、グレイ! 大変だ!!」
「「あ?」」
「エルザが……帰ってきた!!」
「「あ゛!!?」」
妖精の魔導士の一人、ロキの報せに、いつものように取っ組み合いの喧嘩をしていた二人の青年、ナツとグレイは、そろって大量の冷や汗と共に顔を青くした。
その数分後……鎧の魔導士、19歳のエルザは土産(討伐した魔物の角)とともに、ギルドに帰還した。
「ただいま戻った。……マスターはおられるか?」
「おかえりなさい! マスターはワタルと一緒に定例会に行ったわよ」
「なに? ワタルもいないのか……。まあ、仕方ないか……ナツとグレイはいるか?」
エルザは、ミラジェーンの答えに若干眉を潜めたが、すぐに別の事を尋ねた。
「いるわよ、ほら……」
「よ、ようエルザ……俺たち今日も仲良くやってる、ぜ」
「あ゛い」
「ナツがハッピーみたいになった!?」
さっきまで取っ組み合いの喧嘩をしていた二人が、肩を組んで冷や汗をかきながらも仲良さそうにしているのを見て、金髪の新人、星霊魔導士のルーシィはツッコミを入れた。
ちなみに……ハッピーとは、ナツと一緒に行動している青くて喋る猫である。能力系の魔法“翼”を使う、妖精の尻尾の魔導
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