第六章
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「実際にね」
「そうしていいんですね」
「そうなのですね」
「そうしないと駄目だからね」
ここで彼のその言葉が強くなる。
「やっぱりね」
「騎士道でしょうか」
「それでしょうか」
「そうだよ」
まさにそうだというのだ。
「卿等もそう思うかな」
「それは確かに」
「我々も軍人ですし」
「それならばですね」
「こうしたことは」
「誇りを忘れてはいけない」
リヒトホーフェンは言った。
「絶対にね」
「そうですね、しかし」
ここでルードはこうリヒトホーフェンに言った。
「流石ですね」
「流石とは?」
「はい、レッドバロンですね」
こう言ったのである。
「英雄ですよね」
「違うよ」
リヒトホーフェンの方から否定の言葉が出た。
「それはね」
「違う?」
「違うっていいますと」
「私は英雄と言われているが英雄ではないよ」
それはどうしてかも言うのだった。
「英雄と自分で思ったことはないよ」
「ご自身では、ですか」
「そうなのですか」
「うん、英雄というのはね」
それは何かというのだ。
「人に言われて自然となっているものだよ。自分でなるといってなれるものじゃない」
このことを真面目な顔でルード達に言うのだった。
「自称は英雄じゃないんだよ」
「そうなんですか」
「そういうものですか」
「そう、私はただね」
何なのかも言うのだった。
「誇りを忘れたくないだけなんだよ」
「軍人のですね」
「騎士の」
「そう、最後の最後まで騎士でいたんだよ」
これがリヒトホーフェンの持っていたいものだった。
「それだけだよ」
「誇りですか」
「それですか」
「戦場にいるとどうしても生き残ることばかり考える様になるよ」
ルードはリヒトホーフェンの言葉をここまで聞いて自分だと思った、英雄になろうと思いその思いが消えて今は生き残ることだけを考える様になっている自分だとだ。
そのうえで彼の話を聞き続けた、リヒトホーフェンの話jは続く。
「けれどそれでもね」
「その中で、ですね」
「うん、誇りは忘れないでいたいね」
こうルードにも返す彼だった。
「私が考えているのはそれだけだよ」
「わかりました」
ルードはここまで聞いて応えた。
「これからはそれを忘れない様にして戦っていきます」
「ドイツ軍人としてね」
プロイセンからの伝統ある軍人としてだというのだ。
「そうしていきたいね」
「はい、何があっても」
ルードははっきりとした顔になってレッドバロンに敬礼した、誇り高きエースも笑顔で返礼する。それからだった。
ルードは生きることだけではなく誇りも意識する様になった、その彼に対して司令はこんなことを言った。
「いい顔になったな」
「そうで
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