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EP.9 プレゼントと定例会
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「……どうした、エルザ?」
「……無理だ、生理的に無理だ……」
「どうしたのかな、マイハニー。私の前に出ておいで〜」
「ヒィッ……!」
小刻みに震え、小さな悲鳴を発したエルザを見て、これはマズイ、と思った俺は助け舟を出すことにした。……目の前の“濃い”男に。
エルザは、苦手な物を前にして、それがある一線を越えると、今の俺でさえ抑えるのに苦労するほど暴れるのだ。震えや悲鳴はその前兆である。
「……分かったよ……おい、オッサン」
「オッサンじゃない! 私はまだ25歳だ!」
「ああ、悪い悪い……でも、こいつ嫌がってるからさ……(チラッ)」
「! (コクリ)」
“濃い”男と話している隙にエルザに目で『行け』、と合図を出した。
エルザはそれを理解したようで、頷くと気取られないように、こっそり移動した。
「っと、名乗ってなかったな。俺は妖精の尻尾のワタル・ヤツボシだ。アンタは?」
「む、名乗られたからには名乗らねばな。私は一夜=ヴァンダレイ=寿、所属は青い天馬だ」
「やっぱり天馬だったか……マスターボブに挨拶したいんだが……どこにいる?」
「あそこにいるぞ。メン!」
見ると、確かにいた。太った体に不釣り合いなほど小さい羽の生えた男が。
「ああ、いたいた。ありがとう。……それと、アイツ、嫌がってたからあまり付き纏うな」
「む……君はあの御嬢さんの何かな?」
「何って……何だろうな?」
「私に聞くな!」
エルザにとって、俺はどういう存在なのだろうか?
同じギルドの仲間? 仕事仲間? それとも……。
一夜の疑問に、答えは出る事無く……訳もなく俺を苛つかせた。
「……まあ、そういう訳だから。……縁があれば、また……」
「…………悩めよ、少年」
「? 何か言ったか?」
「何も言ってないぞ、私は」
「……そうか」
マスターボブに挨拶して(天馬に来ないか? と誘われたが、当然断った)、エルザと合流し、定例会を終えてマグノリアに戻っても、一夜の質問の答えは出なかった。
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