原作開始前
EP.9 プレゼントと定例会
[4/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
えていたみたいだった。
エルザは驚いたように、でも少し嬉しそうにワタルに頼みをした。
「そ、そうか……なぁ、着けてみてくれないか?」
「……ああ、分かったよ」
ワタルはエルザから再びイヤリングを受け取ると、横に立った。
――そういえば、随分髪伸ばしてるな。顔も少し赤い……これは寒いからか。
そう思いながら、髪をどかして片方を着け、もう片方の耳にも着けようとしたのだが……
――そういえば “アレ”も去年の今頃だったな……う、やばい……。
去年、エルザにキスされた事を思い出したワタルは、内心で慌ててしまった。
そして、一度意識してしまうと、エルザの綺麗なうなじや、赤く染まって15歳とは思えないほどの色気を醸し出している頬にも目がいってしまい、落ち着かなくなってしまった。
しかし……
「……はい。終わったぞ」
「え……あ、ああ。ありがとう」
何もせず、ワタルはエルザから離れた。
エルザは少し残念がったが……ワタルには分からなかった。
「……寒いから気を付けろよ。おやすみ」
「……ああ。……ワタル、また明日な」
「……ああ、また明日」
そう言うと、ワタルは後ろ手に手を振りながら、自宅に戻った。
――ワタルは……気付いてないのかな、私の気持ちに……。
――……臆病だな、俺は……魔物や猛獣には踏み込めても、エルザの心にはどうしても踏み込めない……。まだ怖いのか? 離れていくのが……。
エルザとワタルの想いは届かず、それでも二人はいつも通りに振る舞う。
二人だけの世界に生きている訳では無いのだから。
= = =
SIDE ワタル
年が明けて、X781年。エルザと俺は、マスターに連れられて半年に一度、1月と7月にクローバーの街で行われる、ギルドマスター連盟の食事会を兼ねた定例会にやってきていた。
俺たち妖精の尻尾は、7月はマスターが誰を連れて行くか選び、1月はS級に新しく上がった魔導士をマスターが連れて行く事になっている。今回はエルザがそうだ。
俺は去年の定例会に参加していたのだが、今年も来ている。
その理由は……
「――――ジュラ・ネェキスに“聖十大魔導”の称号を与える。その名に恥じぬ振る舞いをし、今後とも、魔法界の発展に励むように」
……とまあこんな風に、
『大陸で最も優れた10人の魔導士の証である、“聖十大魔導”の称号を誰に与えるか』
を決めるために、各地の有望そうな、聖十の可能性のある魔導士に課せられる試験のようなものが、少し前に行われたのだ。
俺はそんな称号に興味は無かったし、マスターが聖十の一人だった
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ