第三章
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「敵の戦闘機隊の主力が来れば叩く」
「その作戦にあの人も参加するんですか」
「そうだ、凄いな」
「ええ、何か楽しみになってきましたよ」
ルードは微笑んで司令に返した。
「噂には聞いてますけれどね」
「凄腕のエースだからな」
「英雄ですね、本当に」
ルードは自分のことを思い出しながら語る。
「俺なんかと違って」
「気味も頑張ってると思うがね」
「生き残ることしか考えてないですから」
司令の言葉に返すそれは乾いて無機質なものだった。
「ですから」
「だからか」
「はい、俺なんてとても」
英雄になりたかったが諦めた、その自分とはリヒトホーフェンは違うというのだ。
そうした話をしてそのうえであった。
彼はリヒトホーフェンの部隊との共同作戦の日を楽しみにしていた、だが彼の基地である空港に来ることはなかった。
「来ないんだな、レッドバロンは」
「ああ、別の基地に入るらしいな」
「それでそこから飛び立って俺達と合流してな」
「それで戦うらしいな」
ルード達は基地の食堂でその辺りの事情の話をした。
「だからこの基地には来ないらしいな」
「そうか、それは残念だな」
「仕方ないけれどな」
「作戦だからな」
その辺りの事情は様々で一定しない、それでこの時もだった。
「空で合流するか」
「それで一緒にやるか」
こう話してこのことは諦めた。そうしてだった。
彼等は空で合流することになった、その中で。
ルードは周囲にソーセージとジャガイモにザワークラフト、平時から見ると相当に質の落ちているそれをビールで流し込みながらこう言った。
「まあ仕方ないよな」
「ああ、このことはな」
「仕方ないな」
「それでも空にいてくれるからな」
そのリヒトホーフェンがだというのだ。
「ならやるか」
「ああ、イギリスの奴等を全員叩き落そうぜ」
「絶対ににな」
「勝角は俺達だからな」
こうも言うルードだった、言葉に久し振りに心が入っている。
「英雄jか、姿は見られないけれどな」
「愛機は見られるぜ、あの赤い戦闘機な」
「あれがな」
「それが見られるだけでも嬉しいさ」
ルードの今の言葉はまるで子供の様に弾んでいた。
「英雄にな」
「だよな、赤い戦闘機か」
「それが本当に見られるんだな」
「やっぱり嬉しいよな」
「ああ、そうだな」
ルードは保存状態がよくないのか酸っぱくなりかけているビールの味にあまりよく思わないながらも楽しみにしていた。
そしてそのうえでその日を待ったのだった。
その日になり空に飛び立つ、合流ポイントに行くと。
そこに彼がいた、赤い戦闘機が。
「おい、いたぞ」
「ああ、レッドバロンだ」
「リヒトホーフェン大尉の愛機だな」
「あれがな」
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