第四章
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「美味いな」
「ああ、本当にな」
「何か栄養的にもそのままフルーツらしいしな」
「これは違うな」
「かなりいいぜ」
「だよな」
彼等は驚きを隠せないまま話す、そのうえで小石を舐め土を食べていった。
誰もが山に来て食べる、ここで問題があった。
食物は食べればなくなる、それはこの山も同じだった。
皆蟻の様に群がり貪った挙句山は消え去った、標高九千メートルの山が僅か一年の間に気付けば消え去ってしまっていた。
連合の市民達はまた驚いた、今度は山が消えたことにだ。
「九千メートルの山が一年でか?」
「皆食い尽くされたのかよ」
「連合の人間は食うけれどな」
「それが一年か」
「そんなの有り得るのかよ」
「実際になくなったからな」
これが現実だった、現実はあらゆる物事に対して誰よりも誠実だ。
「だからな、もうな」
「言うまでもないだろ」
「山は消えたよ、食われてな」
「それでなくなったよ」
そうなってしまった、完全に。
これには小石を拾った男も舐めてみようと言い出した青年もその消え去った山の麓で無念の顔でこう言ったのだった。
「折角見付かった山だったのにな」
「ああ、消えるなんてな」
「山もなくなるんだな」
「食われてな」
「いや、こんなこともあるんだな」
青年は驚きを隠せないでいた。
「本当にな。けれどな」
「けれど。何だよ」
「ひょっとしたらだよ」
こう男に言うのだった。
「ここに土置いたらまたあの味になるかなってな」
「フルーツの味にか」
「どうかなって思うんだけれどな」
「じゃあちょっとやってみるか?」
男も青年のその話に乗った。
「それじゃあな」
「ああ、こうしてな」
青年は早速山があったその平地に土を置いてみた、そのうえで暫く経ってからその土を手にして食べて見ると。
「美味いな」
「ちゃんとフルーツの味になってるんだな」
「メロンの味がするぜ」
その味だというのだ。
「美味いぜ」
「そうか、じゃあ俺も食ってみるな」
「とりあえずここに土を置けばまた美味いものが出来るんだ」
「よかったな、じゃあ山を復活させるか」
「そうしような」
土は幾らでもあった。極論すれば腐葉土でも肥料でもよかった、山があった場所に土がこれでもかと積まれまた食べられる様になった。
人々はまた美味い土や石を口にして喜んだ、だがその中で。
「ここの土って確か肥料だったよな」
「ってことは鶏糞とか堆肥か?」
「出したものだよな」
「おい、何か汚いな」
食べてから気付いたことだ。
「それでもこんなフルーツの味がするなんてな」
「何か不思議だな」
「どうしてここだけこんな味になるかわからないけれどな」
「美味いからいいか?」
「割り切るべきか
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