第二章
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「ここからだよ」
「小石から匂うのか?」
「そうなのかよ」
「ああ、こっちから匂うよ」
まさにそうだというのだ。
「この小石からな」
「果物の匂いがする小石?」
「また変な小石だな」
周りもヤンの言葉に頷いてから彼の持っているその小石を手に取ってかいでみた。するとそれは確かにフルーツ、葡萄の匂いだ。
それでヤンも言うのだった。
「変わった石だな」
「ああ、こんなのははじめてだ」
「俺ははじめて見たぞ」
「俺もだ」
そんな石はというだ。
「またおかしな石があるものだよ」
「変な話だな」
「本当にな」
「若しかしてな」
ここで一人が言った。
「それ食えないか?」
「その石がか?」
「食えるかっていうのか?」
「ああ、そうじゃないのか?」
こう言うのだった。
「ひょっとしてな」
「おい、石は食えないだろ」
「流石に無理だよ」
周囲は首を捻ってその彼に言った。
「食える石なんて聞いたことないぜ」
「これまで連合には色々な星が開発、開拓されてきたけれどな」
「それでもな」
「これまで全くなかったからな」
「一つもな」
「俺もそう思うけれどな」
石を見つけ出して今も持っている彼もこう言うのだった。
「流石にそれはな。けれどな」
「ちょっとその石貸してくれるか?」
食えるかと最初に言ったその言いだしっぺの言葉だ。
「それだったら俺が実際にな」
「食ってみるのかよ」
「ああ、そうしてみるな」
「やれやれだな。まあ小石を舐めて唾液を出す方法はあるけれどな」
それで喉を潤す、水分の摂取ではないが凌ぎにはなる。
「それになればいいか」
「まあそうだな。それにいい匂いの小石なら普通の小石よりもずっといいだろ」
「香りがするだけか」
「飴みたいでな。それじゃあな」
「よし、じゃあ試しに舐めてみなよ」
石を拾った彼が言いだしっぺに対してその小石を手渡した、そのうえでだ。
言いだしっぺは小石を舐めてみた、舌で触れたその瞬間にこう言った。
「あれっ、美味いよ」
「えっ、美味いのかよ」
「味がするのかよ」
「ああ、美味いよ」
ただ味がするだけでなくいいというのだ、
「果物の味がするよ」
「葡萄か?バナナか?それとお林檎か?」
「どれの味だよ」
「葡萄だよ」
葡萄の香りがする小石だ、それでだった。
「葡萄の香りがして武道の味がする小石だよ」
「おいおい、本当かよ」
「そんな小石かよ」
「美味いよ。それにな」
彼は実際に飴を舐める様に美味そうにしゃぶりながら周りに答える、その顔は実に楽しげなものである。
「減っていってるよ」
「舐めてか」
「それでか」
「飴みたいにな」
そうなっているというのだ。
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