第六章
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ドラゴン王は言う。
「ヒューマノイドは決して口にはしない。成敗はするがな」
「では人間の町を襲うことも」
「中には不心得者もいる」
ドラゴン王は総督にも答える。
「人の町を襲い財宝を狙う輩はな」
「それは強盗ですね」
「我々の世界にも強盗はいるからな」
人と同じだというのだ、そのことは。
「だがそうした者も取り締まっている」
「安心して宜しいのですね」
「少なくとも我々の町のことはな」
「ここまでお聞きして安心しました」
総督はドラゴン王に対して答えた。
「それではです」
「返答は如何に」
「宜しくお願いします」
これが総督の答えだった。彼は微笑んでドラゴン王に答えた。
「これから親しい友人として」
「我々も教えてもらいたい」
「色々とですね」
「そうだ、色々と教えてもらいたい。そして共に生きていこう」
こうしてメルキドとドラゴンの町、ひいては人と彼等の同盟が結ばれた。そして互いに教え合い助け合うことになった。そのことから学者はこう言った。
「いや、ドラゴンは全てが優れていると思っていましたが」
「一概には言えませんね」
「そのことは」
司祭と騎士が答える。彼等は今ドラゴン達を町に招いたうえでの宴の用意をしている。
そしてその中でこう話していたのである。
書記も色々と書類の整理をしながら彼等に話す。
「彼等は古いことを知っていますが新しいことには疎いところがありますし」
「魔法もですね」
「我々の知っているものも多いですし」
人間達が、というのだ。
「彼等だけが知っていることもまた」
「多いですね」
学者も述べる。
「そうですね。何かと」
「全くです」
「文明自体もですね」
「それもまた」
司祭と騎士も述べる。
「それぞれいい部分と悪い部分がある」
「進歩している部分とそうでない部分がありますね」
「どうやら同じ物差しでは計れないものだな」
場には総督もいた、彼も言うのだった。
「種族、そして文明や技術というものは」
「そうですね、そのことがわかってきました」
四人も総督の今の言葉に答えて言う。
「そして偏見で相手を見てはいけない」
「それもまた、ですね」
「人間とドラゴンが違うのは姿形だけだ」
総督はこう看破した。
「寿命と繁殖力も違うが心は同じだ」
「はい、それは同じですね」
「変わるところがありません」
四人もこう述べる。彼等はドラゴン達、そして自分達のことがわかった。彼等と隣同士になったことをそのはじまりとして。
ドラゴンシティ 完
2012・11・25
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