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ドラゴンシティ
第二章
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「挨拶!?」
「今挨拶って言ったよな」
「ああ、確かに言ったよ」
「今な」
 このことをお互いに確かめ合う。
「攻めて来る挨拶か?」
「そんな紳士的な奴いないだろ」
「じゃあこの場合の挨拶tって」
「まさか」
「挨拶が遅れてすいません」
 サラマンダーはこう言ってきた。
「まことに」
「えっ、ドラゴンが謝ってきたぞ」
「頭を下げてきたよな」
「ああ、下げた」
「確かに頭を下げた」
 ドラゴンといえばその力故に傲岸不遜だと思われてきた、だから頭を下げる筈がないと思っていたんだ。 
 しかし今サラマンダーは頭を下げた。城壁の上の者達はこのことに驚きそのうえで目を丸くさせて言い合ったのだ。
「嘘みたいだな」
「しかし口でも言ってきたしな」
「じゃあ本当にか」
「謝ってるんだな」
「そうなんだな」
 彼等はこのことをやっと認識出来た。そうしてだった。
 ようやく彼等の方からサラマンダーに対して城壁の上から問うた。
「あの、それでなんですが」
「挨拶に来られたとは」
「宣戦布告ではないんですね」
「それでは」
「戦うつもりはありません」
 サラマンダーも顔を上げて彼等に述べる。
「それは決して」
「じゃあ一体何をしに」
「何をしに挨拶に来られたんですか?」
「我々に御用でしょうか」
「それは一体」
「はい、隣に来ましたし」 
 サラマンダーは言ってくる。
「それで親睦を深めたいと思いまして」
「えっ、ドラゴンさん達がですか!?」
「我々人間とですか」
「親睦を深められたいのですか」
「そうなのですか」
「はい、そうです」
 サラマンダーはその通りだと答える。
「それでお招きに来ました」
「ドラゴンの町にですか」
「我々を」
「如何でしょうか。お酒にご馳走に催しも用意していますよ」
「ドラゴンの酒と料理」
「酒は聞くけれどな」 
 ドラゴンは黄金と酒が好きだ。若し財宝なぞ狙えばそれだけでドラゴンに殺されてしまうことで知られている。
「料理か」
「それに催しか」
「ドラゴンの料理に催しか」
「一体どんなのだろうな」
「いや、ドラゴンの町に入れば」
 ここでまた彼等の中に危惧が走った。その危惧はというと。
「そこで食われないか?」
「だよな。俺達がその料理じゃないのか?」
「その息で焼かれたり氷漬けにされて頭からな」
「一口じゃないのか?」
「見ろよあの口」
 サラマンダーの口を見る。身体の大きさとあいまってその口は人間なぞ一呑みといったものだった。しかも火が時々見える。
 彼等はサラマンダーのその口を見ながら話した。
「あんなのじゃ丸呑みだぜ」
「やっぱり俺達を食うつもりじゃないのか?」
「町の中に誘い込んでな」
「それで食うのか?」

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