第四章
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「それを持つのです」
「行きますね、今から」
「では」
二人は同時に前に突進した、こうなると体格の優れている有藤が勝つ、背は高いが体格は細い良馬は吹き飛ばされる、だが。
それでも彼は何度でもぶつかっていった。まさにラグビーということを繰り返した、そしてそのうえでだった。
次の練習試合でも良馬はトライをしようと相手チームのゴールに向かっていた、途中までは迫る相手を左右にかわすものだった。
顧問の先生はその彼をベンチで見ながら腕を組みこう言った。
「変わらないな」
「これまでとですね」
先生の隣にいる有藤が応える。
「一緒だというんですね」
「いつもの様にかわすスタイルじゃないのか」
「そうですね。今は」
「それだと同じじゃないのか」
先生はいぶかしむ声で言った。
「どうもな」
「そうですね、今の時点では」
「今か」
「これまでのよいところに加えてです」
有藤は先生の横で微笑んで述べる。
「プラスアルファがあってこそ人はよくなるのですから」
「あいつの昼の練習に付き合ったんだな」
「ええ、そうさせてもらいました」
「それで教えたんだな」
先生も言う。
「そういうことか」
「結果は出ます」
有藤の言葉は確かなものだった。
「ではそれを見ましょう」
「では見るな」
「はい」
先生は有藤と共に良馬の今を見た、彼はそのまま相手ゴールのトライに向かう。
しかしその彼の前にあの時と同じ様にだった。
ゴールの前に相手チームの選手がいた、まるでサッカーのキーパーの様に。
その相手を見て先生はまた言った。
「あの時と同じだな」
「そうですね」
「あいつ、どうする」
「彼は既に決めていますよ」
有藤は微笑んで先生に答えた。
「後はその答え通り動くだけです」
「それだけか」
「そして僕達はそえを見るだけです」
こう微笑んで言うのだった。
「ではそうしましょう」
「わかった。それならな」
「はい、それでは」
二人はベンチに座って見ているだけだった。相手の選手は良馬の前に仁王の様に立ちはだかっている。体格は彼よりも大きい。
チームメイト達はその相手を見てこう思った。
「今度もだな」
「シュートだな」
「今度は決めてくれるか」
「そうしてくれるか」
「今度こそは」
今回もシュートだと思った。しかしだった。
良馬はシュートの距離で蹴らなかった。そしてだった。
そのままボールを小脇に抱えて突っ込む、そのまま一直線に突っ込む。
そのうえで向かって来る相手チームの選手に突き進み衝突した。その衝突の結果はというと。
体勢を低くして下から上に突き上げる感じで突っ込んだ彼の良馬の勝ちだった、彼は相手の選手を吹き飛ばしそのうえでトライを決めたのだ
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