第四章
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皆これには唖然となった。だがその沈黙の後で。
チームメイト達は歓声を上げた。良馬もゴールの向こうで高々と右手の拳を掲げた。
有藤はその彼を見てこう先生に言った。
「これが答えです」
「まさかトライとはな」
「驚かれましたか」
「いつもかわす奴だからな」
先生も良馬のことはこう見ていた、だからこその言葉だった。
「それがか」
「舞いかわすこともいいですが」
有藤は微笑みのままベンチに座って隣にいる先生に話していく。
「時にはです」
「ああして突っ込むことも大事か」
「はい、突進もです」
「蛮勇にも見えるがな」
「蛮勇も時と場合によってはいいと思います」
それもまた、というのだ。
「ですから」
「そういうことか。だからあいつもああしたんだな」
「目の前に相手がいてもかわすだけではありません」
「ああして突っ込む選択肢もあるか」
「彼はそれを知りました。ですから」
「もっといい選手になるな。そして」
先生も何時しか笑みになっていた、そのうえでの言葉だった。
「いい人間になるな」
「両方を知りましたから」
こう右手を掲げている良馬を見て言うのだった。実際に彼は硬軟両方を知る者になった、そしてより深みのある人間になったのだった。全てはあのシュートの失敗と果敢なトライ、その間の有藤とのやり取りからのことだった。
トライ 完
2012・11・21
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