第三章
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介だな」
「この店にも来るかも知れないわよ」
「それ本当!?」
イワノフはマリーの今の言葉に警戒を露わにしてきた。見ればそれはペーターも同じであった。彼等は動作が異様なまでにシンクロしていた。それは名前故であろうか。
「いかんぞ、それでは」
ペーターはそれを聞いてすぐに立ち上がった。
「身を隠さなければ」
「うん、それじゃあ店の奥に」
イワノフがそう提案する。
「一時隠れよう」
「そうだな」
ペーターもそれに同意して頷く。
「すぐに隠れよう。それでいいな」
「ええ、それじゃあ」
「私も」
ここでマリーも一緒に隠れることを提案してきた。
「それでいいかしら」
「君もかい」
イワノフはそれを聞いて意外といった感じの顔を彼女に向けてきた。
「隠れるのは」
「さっき言ったじゃない。私もフランス人にナンパされたって」
「うん、まあ」
「それから逃げたいのよ。だからね」
「わかった、それでは」
何故かペーターがそれに頷いてから応えるのだった。
「すぐにそうしよう。三人でだ」
「あ、ああ」
「わかりました。それじゃあ」
こうして三人は店の奥に隠れた。そこへ何かやけに髭の濃い男が来た。
「あれ、あれは」
ペーターはその男の姿を見て呟く。
「ミハエルではないか。どうしてここに」
ロシアのオランダ大使である。見ればロシア風のやけに物々しい毛皮を着ている。その寒さに対する完璧なまでの装備は髭と共に彼がロシア人であることを見せていた。
「ふむ。ここにもいないか」
「閣下」
そこにまた一人髭の濃い男がやって来た。彼もロシア人であるのがわかる。格好でだ。
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