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スコール
第一章
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「それでも暑かったのよ」 
 そうだったというのだ。
「だって風もなかったし」
「確かに今もないね」
「今何度なの?」
「四十度位じゃない?」
 勝大は顔の汗をタオルで拭きながら有紗に答えた。
「これだけ暑いと」
「それだけあるの」
「あるんじゃない?やっぱり」
「嫌になるわね。けれどね」 
 有紗は今の暑さにうんざりとしながらも希望を以て勝大に言った。
「それもね」
「うん、映画館に行けばね」
「映画館の中はクーラーがあるから」
 有紗はそれに希望を以持っているのだ。
「だから中で涼みましょう」
「そうだね。じゃあとりあえずは」
「何か冷たいもの飲む?」
「アイスティーとかどうかな」
 勝大は微笑んで有紗にこれを薦めた。
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