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愛の妙薬
第一幕その九
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!?」
 これにはネモリーノとベルコーレ、両方が同時に声をあげた。
「嘘だろう!?」
 言われたベルコーレは目を白黒させていた。
「本気なのかい!?」
「冗談でこんなことは言わないわよ」
 アディーナはそれに対して微笑で返した。
「それとも私じゃご不満かしら」
「いやいや、とんでもない」
 だがベルコーレは内心とんでもないことになった、と思っていた。
(逃げられんな、これは)
 彼はそれでも騒ぎの中央ではまだなかった。かなり巻き込まれていたが台風の中央にはいなかった。
 中央は最早大荒れであった。ネモリーノは顔中汗だらけにしてアディーナに何か言おうとしていた。だが狼狽しきっていて中々言葉にならない。
「あの、アディーナ、あの、その・・・・・・」
「何、ネモリーノ」
 アディーナはそんな彼を勝ち誇った顔で見下ろしていた。背は彼女の方が遙かに小柄であったが完全に勝っていた。
「貴方も来てくれるわよね、楽しみに待ってるわよ」
 ここぞとばかりに攻勢をかける。ネモリーノは顔色をくるくると変え口を閉じたり開いたりして完全に我を失っていた。
「あの、その」
「何?聞いてあげるわよ」
「その、ね・・・・・・。明日の朝まで待ってくれないかな、その、結婚を」
「あら、どうして?」
 彼女は意地悪い顔で問うてきた。
「貴方に関係ないことなのに」
(関係あるのだろうな)
 ベルコーレはその光景を見ながら思った。
「明日になればわかるよ、事情は。今はちょっと言えないけれど。だからね・・・・・・その結婚は明日まで待って欲しいんだよ、頼むから」
「嫌よ」
 アディーナはそれに対してすげなく返した。
「貴方に指図されるいわれはないわ」
 そして右手を振って彼をあしらった。
「そんな・・・・・・」
 ネモリーノはそれを受けて完全に絶望した様子になった。もう酔いは完全に醒めていた。
(さてさて)
 ベルコーレはそれを見ながら考え込んでいた。
(これはどうなるかな。どうもこの娘さん本当は俺のことは何とも思ってはいないようだな)
 こうしたことには場慣れしている。だからすぐにわかった。
(俺は当て馬ということかな)
 そう考えた。だがここは結論を避けることにした。
(乗ってみるか)
 それも楽しそうだと思った。酔狂なことは好きだった。
(よし)
 彼は意を決した。この騒動に巻き込まれることにした。
「ではお嬢さん、すぐに式に取り掛かりましょう」
「ええ」
 アディーナはにこやかな笑顔を作って答えた。
「すぐに取り掛かりましょう」
「それは一日だけ待ってくれ」
 ネモリーノはそんな彼女にすがるようにして言った。
「そうしたら全てわかるから」
「何がわかるっていうの!?」
 アディーナはそんな彼をキ
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