第一章
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一目見ただけで忘れられぬまでの顔立ちに奇麗な髪をしている。しかもその背丈が桁外れに高い。
その側室を見て道三はこう頼芸に問うた。
「一つお伺いしたいのですが」
「うむ、何じゃ?」
その優秀さ故にすっかり道三を頼りにしている頼芸はにこやかに彼に応える。
「何かあるのかのう」
「そちらの方ですが」
その側室を見ての言葉だ。
「何と仰るのでしょうか」
「深芳野じゃ」
頼芸はここでもにこやかに言う。
「稲葉の妹じゃ」
「そうですか。稲葉殿の」
土岐家の重臣の一人だ。非常に頑固な性格で知られている。
「妹殿ですか」
「どうじゃ。美しいじゃろう」
「確かに」
道三は密かに見惚れなが頼芸に答える。
「いや、まことに」
「側室の中でも一番のお気に入りじゃ」
頼芸は機嫌のいい顔のまま道三に話していく。
「まことにな」
「そうですな。美濃にもこれだけのおなごはおりませぬ」
道三もこう言う程だった。それからだった。
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