GGO編
百九話 衝動の絶叫 罪の吐露
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の中で否定した。
それまでに見てきた涼人を信じたから。と言うのも勿論ある。だがそれ以上に、先程、アイリや自分に対して見せていた命に対する執着じみた態度は、明らかに命を消し去ることを快楽とする人間の目では無かったと、直感的にそう思ったからだ。
ややあって、リョウが苦笑しながらその口を開いた。
「お前は優しいっつーか……思った事、そのまま口に出したって別に良いんだぜ?」
「……」
そんなリョウの様子にシノンは一瞬微笑んで、すぐに首を横に振った。
「あり得ないから。リョウ兄ちゃんは、人を殺すことを楽しいなんて思ったりしないでしょう?」
「……っ、そう、だなぁ……」
一瞬怯んだようにリョウの表情が曇ったように見えたが、それを確認する間も無く、リョウは真顔に戻った。
「俺はな……あの世界じゃ、PKK(プレイヤー・キラー・キラー)だった」
「っ……」
「「…………」」
リョウの言葉に、シノンは息を詰め、キリトは奥歯をきつく噛みしめ、アイリは俯く。
「フィールドに出たりしてると、どういう訳かPKやらオレンジやらがやたら寄って来やがってな……そう言う事が多いもんで、俺は何度もそう言う連中と武器を突き付け合ってたよ……んでもって……その殆どをぶっ殺した」
「!!」
場の空気が固まるのを感じながらも、リョウは話をやめようとはしない。
「元々攻撃一辺倒なビルドだったからな。数が有るからってタカ括って、レベル差考えねぇで襲ってきた奴に一撃二撃当てると、面白いように死んでった。自己防衛だからってんで、手加減もしなかったしな……気が付きゃ、《オレンジ殺し》みてぇな二つ名まで付いてた……結局のとこ、レッド連中と同じ事やって、襲われた側って体を盾にしてたから、オレンジにはならなかったし、誰にも咎められなかっただけさ」
「…………」
聞きながらシノンは、リョウに奇妙な近さを感じていた。
詩乃もまた、大きな罪を犯しながらもそれを罰っされる事は無かったからだ。しかしシノンとリョウには、決定的に違う所があった。
「……ある意味俺は、レッド連中より質悪ぃかもしれねぇな……殺した奴の顔すら殆ど思い出せねぇし?名前なんて知りもしねぇ奴等ばっかりだ……おまけに、罪の意識なんて、考えたこともねぇし……まぁ、あいつらがどうかなんて知りゃしねぇけどな?」
苦笑しながらものんびりと、相変わらずさしたる事も無げに話すリョウを、シノンは黙って見ていた。しかし……。やがてやがて漏れ出るように、一つの問いが詩乃の口から溢れた。
「リョウ……りょう兄ちゃん」
「ん?」
「私は……りょう兄ちゃんのしたことに何も言えないし、言う権利も無いから……何も言わない。でも……一つだけ聞きたいの……リョウ兄ちゃんが今、そうやって過去を振り切って、過去に勝って、
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