GGO編
百九話 衝動の絶叫 罪の吐露
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……」
「うん……」
シノンはそう言うと少し俯き加減に地面を見た後、顔を上げてリョウの目を見た。
「……考え直せ」
「……嫌」
リョウの言葉に、殆ど間もなくシノンが返す。
リョウが眉根を寄せた。
「……なんでだよ。此処に居る方が良いって理由はさっきキリトが言ったろうが。死ぬかもしれねぇんだぞ……?」
「……私」
シノンはポツリと口から言葉を紡ぐ。
「さっき、すごく怖かった。死ぬのが恐ろしくて、五年前の私よりも、弱くなって……情けなく悲鳴上げて……そんなんじゃ、だめなの。私は……そんな私じゃ居たくない」
「だから一人で行きたいってのか?」
「…………」
そこで、少しだけ息を詰めるように、再び詩乃は俯いた。リョウは続ける。
「意味分かんねぇな。一人で戦って一人で死ぬってでも言う気かお前は?」
「それが、私の運命だったんだよ……初めから……」
そう言いながら、シノンは眼を逸らす。リョウは若干イラついたようにノータイムでシノンに返す。
「なんだよその運命ってのは、俺は初めから蚊帳の外か」
「だから一人で戦えるって言ったの……これは私の、私だけの戦いなんだから……」
「お前なぁ……!」
リョウは徐々にイラつきを増しているようだった。元々お世辞にも丁寧とは言えない口調が更に荒くなる。
「よしんば、その理屈で戦って、死ぬのは誰かじゃねぇ。自分なんだぞ!?本当に分かってんのか!?」
「こんな私のまま生きてるくらいなら……死んだ方がましよ!!」
枯れた声でシノンがそう叫んだ。瞬間、パァンッ!と言う痛々しい音が、洞窟に響いた。
「……っ」
「あ、兄貴……」
「リョウ、やめて……!」
「…………」
頬を殴られたシノンは一瞬大きく左に首を振らされるが、すぐにリョウに向き合い、その眼を睨みつける。先に口を開いたのは、リョウだった
「自殺を許すつもりはねぇって、さっき言ったからな、謝ってはやらねぇ、二回は殴らねぇから、もう一回言ってみろ」
リョウの瞳をしばらくシノンは正面から睨み続けていたが……やがて再び口を開く。
「こんな……こんな私のまま、死ぬことにおびえ続けて、死銃から逃げ続けるような私のまま生き続けるくらいなら…………死んだ方がましだって、そう言ったの!!!」
叫んだシノンへの、沈黙は一瞬だった。
「手前、美幸にも同じことが言えんのか!!?」
「っ……!?」
押し殺したような、声量的な大きさよりも、意思を具現化したような物理的な重さの有るその言葉に、シノンはおろか、キリトとアイリすら、少しだけ後ずさる。
「言ってみろよ。お前だってわかってるよな?彼奴がどんだけ手前の事心配してたか!彼奴がお前の傍に居られ無かったってだけで、どんだけ手前を責めた
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