GGO編
百九話 衝動の絶叫 罪の吐露
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「……あぁ、怖いよ……昔の俺なら、もしかしたら本当に死ぬ可能性があっても戦えたかもしれないけど……今は、守りたいものが色々出来たし、それに……きっとこの人の前でそんな事言ったら、殴り飛ばされるし」
そう言って笑いながら、キリトはリョウを見る。腕を組んでニヤリと笑ってリョウは言った。
「今言ったから、殴り飛ばして良いんだな?」
「ちょ!?いや、ノーカンだろ今のは!?」
そんな事を言い合っている二人を、シノンはどこか無気力感を宿した目で見つめる。そうして、今度はその視線を、リョウに向けた。
「……リョウコウは?」
「あぁ?」
「貴方は……死銃が怖い?」
「妙な事聞くなぁ……」
言いながら、リョウは頭を掻く。シノンは、自分のリアルがリョウに知れている事を知らない。必然的に、リョウコウ=桐ケ谷涼人であることも知らない訳だ。なのでリョウは一瞬、この問いに関して詩乃の幼馴染として答えるべきか、それともリョウコウとして答えるべきか迷った。しかし状況を考えれば、自ずと答えは出る。
「んー……わかんね」
「え……」
「死銃が怖いってのはつまり、死ぬ事とか、戦う事とか、そう言うのが怖いかって事だろ?」
リョウの問いに、シノンはコクリと頷く。
「今は、死んでる自分の姿より、出来たかもしれねぇ事をしねぇで後悔する自分の姿の方が、はっきりイメージできるからな。そりゃ、実際「死ぬかもしんねぇ!」って時になりゃ怖くもなるかもしれねぇけど……どうせなら、明確にイメージできる方のめんどくさいのを潰しときてぇだろ?……だから、死ぬことが怖えぇってのは今一明確にはイメージ出来ねぇ」
特に感慨も無くそう言うリョウの言葉を、三人は口を開くことなく聞いて居る。
「まあそれでも……やっぱ、死にたくはねぇな。まだしてない事もあるし」
最後に付け足すように、苦笑しながらリョウはそう言って結んだ。そんなリョウの顔を少女二人は不思議そうに見て、キリトは小さく笑って小さな声で「らしいな」と言った。
「……なら」
少しだけ沈黙が降りたが、それは長くは続かず、シノンがそれを破る。
「このまま此処に隠れてれば良いじゃない。大会が私達以外の最後の一人になるまで隠れてて、そうなったら自殺すれば、その時点で大会は終わるんだから」
「おぉ、その手があったか。頭良いなシノン」
一瞬目を見張ったリョウが、楽しげに笑った。この状況でどうしてそうも明るく笑えるのかとシノンは問いたくなったが、意味が無いような気がして口を噤んだ。
キリトは一度微笑すると、しかしゆっくりと首を横に振った。シノンが予想していた通りだった。
「確かにその手もあるな……けど、そう言う訳にも行かないよ。今は彼奴も何処かでHP回復してるだろうけど、いずれまた動き出し
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