第二幕その七
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第二幕その七
「どうすれば彼を救えるのかしら」
「そんな時こそ私の薬です」
「先生の」
「そうです、そんなことは新しい愛を見つければすぐに収まります」
(こう言ったらどうなるかのう)
ドゥルカマーラはここであえてアディーナを挑発するようなことを口にした。
「新しい愛」
アディーナはすぐにその言葉に眉を顰めさせた。
(よしよし)
ドゥルカマーラはそれを見て内心満足気に笑った。彼の思うとおりであった。
「もてたいでしょう」
「いいえ」
アディーナは首を横に振った。
(そら乗ってきたな)
ドゥルカマーラは勝利を確信した。さらに言葉を続ける。
「大金持ちの殿方なぞは」
「お金なら困っていませんから」
「貴族の子弟は」
「柄じゃありませんわ」
「では美男子は」
「興味ありません」
「ふむ」
ドゥルカマーラはここでまた考える演技をした。そして間を置いてまた言った。
「ではどなたがいいのですかな」
「決まっているでしょう」
アディ−ナは毅然とした声で言った。
「私が欲しい人、それは」
「それは」
ドゥルカマーラは何もわかっていない素振りで問うた。
「ネモリーノだけです」
「あの若者だけですか」
「はい、私はその他には何もいりません」
「そうですか、ならば話が早い」
ドゥルカマーラは笑いながら言った。
「それでは私の薬を」
「先生の」
「左様、あの若者に渡したものと同じものを。これで貴女も救われますぞ」
「折角ですけれど」
アディーナはここでどういうわけか不敵な笑みを口に浮かべた。
(おや!?)
ドゥルカマーラはここで目の光を変えた。雲行きが変わったのを感じていた。
「私には必要ありませんわ」
「どうしてですかな」
(ふむ、これはまずいのう)
彼は自分の薬が売れそうにもないことを肌で感じていた。
(これは何とかしなくてはな)
そしていつもの口八丁手八丁に訴えることにした。
「そうは言いましてもお嬢さん」
「私も薬を持っておりますの」
アディーナは流し目をして彼に返した。
「それは?」
ドゥルカマーラは問うた。
「私自身ですわ」
彼女は悠然と微笑んでそう答えた。
「貴女御自身が」
「ええ」
彼女は微笑んで答えた。
「先生はご存知ありませんのね。女の武器というものを」
「女の武器」
「はい。女は愛の妙薬に頼ることなく好きな男を手に入れることができますわ」
「またまたご冗談を」
ドゥルカマーラはアディーナのその言葉を笑い飛ばした。
「人の心はそうそう簡単には動きませんぞ」
「それもわかっておりますわ」
アディーナはすぐに返した。
「それをわかったうえで言っていますの」
「それは凄い」
だが彼はその言
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