第二幕その六
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娘の為に飲むのだと。どんな女性の心
も支配できるというのに」
(私のことだわ!)
「イゾルデの魔法の薬が欲しいと言いましてな。それで私はあの若者に差し上げたのです」
「そんなことを」
「はい。私はどんな薬も作り出すことができますので。当然その愛の妙薬も」
(だからあの時あんなに上機嫌だったのね。それなのに私は)
アディーナは悔やんだだが悔やんでも悔やみきれるものではなかった。
「しかしそれでも駄目だったようで。それで彼は自分を軍に売って金を作ったのです」
「そして薬を買ったのですね」
「はい。それでそのお金のぶんだけ飲んだのです。するとああして娘達に囲まれまして。いやはや、自分で作ったのですが凄い効き目ですな」
(知らなかった、彼がそれ程私のことを想っていたなんて)
彼女は今までそれはほんの一時の迷いだと考えていたのだ。
(それなのに私はいい気になって冷たくして。何ということをしてしまったのかしら)
(ふむ)
ドゥルカマーラはその間も彼女から目を離してはいなかった。
(どうやら上手くいきそうじゃな)
思わず笑みがこぼれる。だがそれはすぐに消した。
「お嬢さん」
そしてアディーナにあえて優しく問いかけた。
「貴女の悩み、私が解決しましょうか」
「先生が!?」
「はい」
ドゥルカマーラは恭しく答えた。
「今苦しいのでしょう」
「ええ」
否定することはできなかった。
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