第二幕その四
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
遺産たっぷり持ってたわよね」
「ええ」
「それでね・・・・・・皆よく聞いてね」
ジャンネッタはここで皆を側に寄せた。そして小さな声で囁いた。
「その遺産が全部ネモリーノに相続されることになったのよ」
「それ本当!?」
皆それを聞いて思わず叫んでしまった。
「静かに」
ジャンネッタはそんな彼女達を窘めた。そして再び自分の側に寄せた。
「まだ皆に言っちゃ駄目よ、あくまで私達だけの秘密」
「いいわ」
皆彼女のその言葉に頷いた。
「今やネモリーノはこの辺りで一番の大金持ち、結婚するなら今よ」
「性格はいいしね」
「頭は回らないけれど」
彼女達はそんな話をコソコソとしていた。そしてネモリーノを探しにその場を後にした。
その時ネモリーノはベルコーレから得た二十スクードの金でドゥルカマーラから金のぶんだけの薬を貰った。そしてそれをすぐさま飲み自宅のすぐ側にいた。
「これでもう問題はない筈だ」
彼は顔を真っ赤にしていた。
「先生も太鼓判を押してくれた、どんな美女でも僕に惚れる、って。お金を手に入れた介があるってものだ」
薬の力を信じて疑わなかった。
「すぐここを出ていかなくちゃならないんだ。すぐに」
そして自分の家を見た。
「御前ともお別れだな。辛いよ、本当に。だけれど」
ネモリーノは悲しそうな顔で言葉を続けた。
「僕にはこうするしかなかったんだ、こうするしか。だから許しておくれ」
そしてまた薬を口にした。そうでないとやっていられなかったのだ。
塞ぎ込むネモリーノの所に娘達が顔を出してきた。
「いたわ」
先頭をいくジャンネッタが彼女達に対して囁いた。
「用意はいいわね」
「ええ」
彼女達はそれに対して頷いた。そしてネモリーノの前にやって来た。
「ねえネモリーノ」
そして彼に声をかけた。
「何だい?」
彼は赤い顔で彼女達を見上げた。
「見た、この顔」
ジャンネッタがそれを見て娘達に言った。
「ええ、見たわよ」
彼女達もそれに頷いた。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ