第二幕その一
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。そこで覚えた歌なのですが」
「一体どんなものですか?」
「はい、男と女、二人で歌う歌です。詩と楽譜はここにあります」
そう言って懐からそれを取り出した。
「これはまた用意がいい」
村人達も兵士達もそれを見て称賛の声をあげた。
「では私が指揮を執りましょう」
ベルコーレが進み出て言った。
「ではお願いします」
ドゥルカマーラはそれに従い彼に楽譜を渡した。
「ほう」
ベルコーレはそれを開いてその中をパラパラと見た。
「これはよさそうだ」
「そうでしょう、私のお気に入りの歌ですから」
ドゥルカマーラは得意そうに言った。
「そして詩は私が。歌うのはこれは花嫁と決まっていまして」
「私がですか?」
「はい。如何ですか」
「そうですね」
アディーナはそれを聞いて少し考え込んだ。
「喜んで」
そしてそれを承諾した。
「受けて頂き有り難く思います」
ドゥルカマーラはにこやかに笑ってそう応えた。そして歌ははじまった。
「行くぞ」
ベルコーレは兵士達を前に指揮棒を執った。中々さまになっている。
楽譜を開いた。そして棒を振りはじめた。
兵士達が楽器を奏ではじめる。すぐに楽しそうな曲が流れてきた。
「さあ娘さん」
まずはドゥルカーラが歌いはじめた。意外と美声である。
「わたしゃ金持ち、あんたは美人。そんなあんたは何がお望みかね?」
歌も上手い。軽快なリズムに乗り軽やかな動作も入れて歌う。
「お気持ちは嬉しいけれど」
アディーナも歌いはじめた。彼女も歌が達者だ。
「私はしがない女船頭、貴方には似合わないわよ」
彼女はここで自分がネモリーノにいつも言う言葉を思い出した。
「そんな固いことを言わないでおくれ」
ドゥルカマーラはにこやかに笑いながら歌う。
「私には過ぎたことよ」
アディーナは返す。歌は次第に乗ってきた。
「面白い歌だな」
「そうなるのかな」
村人達は酒や料理を楽しみながらそれを聞いている。見れば兵士達と共に行う予定だった宴をそっくりここでしているようである。
「娘さん、世の中お金ですぞ」
ドゥルカマーラは歌を続けた。
「お金さえあれば何でも適う、愛は軽くて吹けば飛ぶがお金は重くて残りますぞ」
(ネモリーノと反対のことを言うわね)
アディーナはまた思った。だがそれをおもてに出すことなく歌を続けた。
「けれど私には好きな人がもういますので」
「まあそんな固いことを言わないで」
「私には過ぎたこと」
二人は歌で丁々発止のやりとりを続ける。次第に歌の調子がクライマックスに近付いてきているのを教えていた。
「わしを幸せにしておくれ」
「それは駄目よ。愛はお金にはかえられないわ」
それで歌は終わった。結局愛は金なぞよりも遙かに大切な
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