第二幕その二
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ここで彼は周りの者に対して言った。
「これから私が言うことを書き記して下さいませ。そして」
「そして?」
「それをまた写して頂きたい。そうですな」
彼は勿体ぶって言う。
「六千枚程。いいですかな」
「わかりました」
皆頷く。彼はそれを確認してから大袈裟に口を開いた。
「それでははじめますぞ」
「はい」
ペンを手にする。そしてはじまった。
「我がドン=マニフィコ」
「我がドン=マニフィコ」
書こうとする。しかしここでマニフィコがまた言った。
「おっと、ここは大文字ですぞ」
「おっとっと」
「危ないところでした」
「気を着けて下されよ。そして」
「そして」
「そしてはいりませんぞ」
「わかっております」
そういうやりとりを続けながら書く。マニフィコは自分の名が大文字で書かれたのを書くにしてから再開した。
「我がドン=マニフィコは極めて由緒あるモンテフィアスコーネの公爵にして男爵」
「おや」
それを聞いてラミーロが声をあげた。そしてマニフィコに対して問うた。
「公爵であられたのですか」
「ええ、先祖は」
彼は胸を張ってそう答えた。事実であるがかなり遠い先祖である。ハッタリだと言っても差し支えはない。
「まあ大したことではありませんが」
そう言いながら胸を張っているところを見てもハッタリであることがすぐにわかる。だが彼はそれを気にも留めず話を続けるのであった。
「大長官にして大指導者、その他二十に余る肩書を有する者として」
「大長官にして大指導者、その他二十に余る肩書を有する者として」
貴族は何よりも肩書が重要なのである。マニフィコも殊更にそれを強調しているのであった。
「その権限を大いに発揮し、これを読む者は命を受けるものとする」
「その権限を・・・・・・」
書き続ける。筆記も楽ではなかった。
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