第一幕その五
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深そうに見せるのだ。よいな」
「ええ、わかったわ」
二人は父の言葉を理解して頷いた。それから三人は何やら相談をしている。それは王子も同じであった。
「殿下」
何故か王子が従者の耳元で囁いていた。
「これで宜しいですね」
「ああ」
従者はそれを聞きながら頷く。
「ダンディーニ、中々いいぞ」
「有難うございます」
彼はそれを受けて微笑んだ。
「どうやら彼等はラミーロ様のお顔を知ってはいないようですね」
「まあ普通はそうだろうな」
彼はそれを受けて頷いた。
「普通は儀式やら応接やらで宮殿から出られないからな。ここに来るのもはじめてだしな」
「そういえばそうでしたね」
「うむ。しかし市井というのもいいものだな」
「そうでしょう」
王子、いや仮の王子であるダンディーニはそれを受けて微笑んだ。
「庶民の暮らしをお知りになるのもいいことですよ。アリドーロ様もそう申し上げておられましたが」
「どうやらそうみたいだな。ではな」
「はい」
従者、いや実は本当の王子であるラミーロはダンディーニから離れた。そして丁度相談を終えたマニフィコ達に顔を向けた。どうやら彼等はあえて王子の替え玉を立てて何かと見ているらしい。
「ドン=マニフィコ男爵だったか」
「はい」
マニフィコは名を呼ばれてそれに応えた。
「そこにいるのが卿の娘達だな」
「左様でございます」
「ふむ」
ダンディーニはそれを受けて頷いた。そしてティズベとクロリンデを見る。
「見た?」
「ええ」
見られた二人はそれぞれ囁き合った。
「殿下は私達の方を御覧になってるわよ」
「わかってるわ」
「いい調子よ」
「そうね」
彼女達はもう王妃になった気分であった。マニフィコもそれを見て満足そうである。
「これでよし」
満面に笑みを浮かべて笑っている。頭の中ではもうこれからのことについて考えている。
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