暁 〜小説投稿サイト〜
FAIRY TAIL 星と影と……(凍結)
原作開始前
EP.8 ワタルのS級試験(後編)
[5/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
つも言ってるだろ、エルザ。年端もいかない女の子が男の家に泊まるもんじゃないって……イテテ……」
 
 ああ、駄目だ。大声出すと頭に響く……。
 
「ホラ、そんな状態なのに、明日の朝大丈夫なわけないだろ。だから泊まる」
「いや、大丈夫だって……」
「……ワタルは私の事嫌いか?」
 
 エルザは立ち止まると、目を潤ませながら上目遣いで聞いてきた。
 寒さで紅潮した頬が何とも色っぽ……って、違う、違う。
 
「……なんでそんな事を聞くんだ?」
 
 規律に厳しいエルザの事だから、酔ってるっていう線は無い……だろう。
 じゃあ何故そんな事を聞くんだ?
 
「答えて、ワタル……」
 
 エルザの声は心なしか弱弱しかった。なので、俺は真剣に考える事にした。
 
「……嫌いな訳ないだろう? 会ってから……大体3年ぐらいか? ……その間、俺がお前を嫌いになった事なんて1度もないよ」
 
 エルザは、ヤツボシの……俺の一族の事を知らないとはいっても、初めて俺を受け入れてくれた人だ。嫌いになんてなるはずがない。寧ろ、好きだ、と言えるだろう。
 でも……だから怖かった。エルザに俺の一族の事を話そうとした事はあったけど、それで彼女が離れて行ってしまうのがどうしようもなく怖く、話せなかった。自分の臆病さに嫌気が差す。
 
「じゃあ……じゃあ、私の事はどう思ってる?」
 
 そう言ったエルザの顔は真っ赤だった。
 その理由が寒さではなく、羞恥で、というのは流石に俺にも分かった。
 エルザは……俺にとってのエルザは仲間であり、家族であり、理解者であり、そして……
 
「……離れたくない人、かな」
 
 どのくらい考えただろうか? 覚えていない。
 エルザの目に自分の姿が映るほど魅入ってしまい、時間の感覚がなくなるほど考えた結果、出た答えはそれだった。
 答えた瞬間に、1つの疑問が浮かんできた。
 エルザは俺の事をどう思っているのだろうか……? それを聞こうとした瞬間だった。
 
「なあ、エル……ッ!?」
 
 俺の頬に、何か柔らかいものが触れ、疑問は吹き飛んでしまった。
 
「ッ……S級昇格のお祝いだ。……また明日な、ワタル」
 
 そう言ったエルザは寮の方に走って行ってしまった。表情は分からなかった。
 俺はただ呆然と、頬をさすりながらそれを見送る事しかできなかった。
 
「……参ったな……」
 
 どうしたものか、と俺は頬が熱を持ち始めたのを感じながら呟いた。
 ……また失いたくない理由が1つ増えちまった。
 
 SIDE OUT
 
 
 
 
 SIDE エルザ
 
 ワタルのS級試験昇格祝いの宴の後、私は彼を彼の家まで送っていくことになった。
 皆ニヤニヤとし
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ