原作開始前
EP.8 ワタルのS級試験(後編)
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」
「ウグッ!」
今度の“魂威”は腹に入ったが、至近距離からだったので、収束は甘かった。ダメージは少ないだろう。
――浅いか? ……でも入った! これなら……いけるか? 集中しろ……。
「……“魂糸縫合”!」
「な……足が!?」
今度は流石に驚いたようだった。
“魂糸縫合”……先程“魂威”で腹に打ち込んだ魔力を、さらに糸状にコントロール、ギルダーツの足を地面と縫い付けたのだ。
縫合に必要な精密さは異常なほど高く、今のワタルでは成功率は五分、といった所だが……何とか成功したようだった。
「もう一発……“二掌魂威……ッ!?」
追撃に移ろうとしたワタルだったが、直後、襲った悪寒と、ギルダーツが自分の方に手を向けているのが見え、真横に跳んだ。
「……アッブネェ……」
「ほう、よく避けたな……」
ギルダーツは粉砕でワタルが今までいた所を分解し、同時に足元を粉砕で砕いてワタルの“縫合”を破ったのだ。
「力技で……流石だな」
「お前も随分強くなったじゃねえか……ワタル。……なら、俺もお前に対して手を抜くわけにはいかないな……!!」
ゴゴゴゴゴ……!!
「……ッ! 何だ?」
突如襲った地響きと凄まじい魔力に、ワタルはたたらを踏んだ。
「……魔導士として魔の道を歩き、その頂に辿り着くために……必要なものがある。……お前には、それが何か……分かるか?」
「ッ!」
――山まで震えてやがる……。
ワタルは、ギルダーツの余りにも強大な魔力に、霊峰ウェルスに充満する魔力が振動を起こしているのを感じ……ただ圧倒され、体を震わせていた。
「必要なもの?」
「ああ、それは……」
一層振動が激しくなり、ギルダーツの魔力が増大した。
――ッ!? まだ上がるのか!?
「……“恐怖”だ」
「恐怖?」
ギルダーツの答えに、ワタルは震える声で聞き返した。
「そうだ。お前はこの“恐怖”に対してどんな答えを出す?」
「……」
恐怖、恐怖による挫折、否定される恐怖、……たった今感じている絶大な力に対する恐怖。
色々な“恐怖”がワタルの頭の中を駆け巡り、そして……。
「……人間の、強さの根源だ」
「……」
ギルダーツは未だ周囲の魔力を震わせながらも、黙ってワタルの答えを促した。
「俺は……恐怖に挫折したことがある。そこから立ち上がるのには、本当に時間が掛かった。でもな……同時に気付いたんだ。……恐怖があるから、人間はそれを乗り越えようと勇気を振り絞って強くなれる、と」
「……」
ギルダーツは、ただ黙って聞いていた。ワタルの答えは続く
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