原作開始前
EP.7 ワタルのS級試験(前編)
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“発想力”じゃ!!」
“武力”と“発想力”、か……。確かにあの吹雪の中じゃ、魔力を探って見つけるにしてもちょっと難しいな……普通なら。
「……分かりました。さっさと始めましょう」
「お? いつになく積極的だな、ワタル」
ギルダーツがさも意外だ、とでも言いたそうに俺の方を見て言った。
積極的? 当たり前だろう、だって……
「やっとS級に上がれるかと思うと嬉しくてね……結構昂ってるんだぜ、今」
「ほう……期待してるぞ。なあ、ラクサス?」
「フン……早く始めようぜ、ジジィ」
「まったく素直じゃないのう……ではラクサス、ギルダーツ頼むぞ」
「はいよ」
「おう」
高揚する気分を抑えきれずに、魔力を手からバチバチと弾けさせて俺が言うと、ギルダーツは面白そうに笑い、ラクサスは凶暴な笑みを隠しきれていないまま、マスターを急かした。
マスターは呆れたように、でもどこか嬉しそうで楽しそうに笑うと、ロケットを2人に渡した。
「では……行けぃ!」
号令と共に、2人は扉を開けて雪山に消えた。
そしてまだか、まだか、と思うこと10分間。
人生でこれほど待ったか、と思う程に長く感じた10分が過ぎ……
「よし、10分経過。では……試験開始じゃ!!」
「待ちくたびれたぜ!」
叫んだのは本当に本心だった。
扉を開けると、そこは極寒の地……でも足りなかった。
そう思わせるほどの何かが、胸で弾けんばかりに燃え盛り、火照る体を突き動かした。
「まったく……闘気を滲ませ過ぎじゃ、馬鹿者めが……」
俺が出て言った後、家の中でマスターが呆れたように、でも嬉しそうに溜息を吐いていた事を俺は当然知らなかった。
さて、勢いよく飛び出たはいいが……この吹雪だ、闇雲に走ったところで見つかるはずもない。
「さてと……とりあえずは落ち着くか……」
頭は冷静に、でも心は熱く。
でないと、見つける事なんて出来やしないし、例え見つけたとしてもあの二人だ、返り討ちに会うのは目に見えている。
「とりあえずは拠点の確保。その後索敵、襲撃……が妥当か」
そう思ったら即行動。まずは、吹雪を凌げるところを探そうか……。
この寒さだ。ジッとしていればそれだけで体力は奪われてしまう。肝心な時に力が出せないのでは、2人にも、マスターにも申し訳が立たないし、なによりも自分が納得しない。
誰狙いかは……考えるまでもないか。
「お、あそこが良いかな……よし、付近には誰もいないな」
ちょうどいい洞窟を見つけた。
魔力を感じなかったので、大丈夫だと思い、中に入り、雪を払った。
「ふう……さて、本番は此処からだな…
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