原作開始前
EP.7 ワタルのS級試験(前編)
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てむくれるエルザを見ながら、俺はS級に上がる決意と覚悟を固めた。
そして1週間後。場所はフィオーレ西部、霊峰ウェルスの麓の村。
周りは雪が積もっており、ウェルスの頂上は雪雲に隠れて見えない。
「しかし、寒いな……」
防寒用のコートを着ているが、正直、気休め程度にしかならない。
試験が始まれば流石に寒さを感じる余裕なんてないだろうが、今は待機中。
マスターの到着を待つには、この寒さは正直きつい……。
そして、約束の時間の5分前。
「……ま、待たせたの……」
マスターが現れて、試験の説明を始めた。
「今回のルールはいたってシンプルじゃ。何せ、参加者が1人だけじゃからの……」
「もったいぶらずに教えてください……もう寒くて、寒くて……」
まあ待て、と言うマスター。
一体何だ……と思っていると、霧の中から2つの影が現れた。
それは……
「ようワタル……久しぶりだな」
「わりぃなジジィ。このおっさんが遅れてな……」
「ラクサス……それに、ギルダーツ!?」
今の俺のライバルであるラクサスと、妖精の尻尾最強の男と名高いギルダーツだった。
でも、ギルダーツは仕事だったんじゃ……?
「マスター、なぜこの2人がここに……?」
「そりゃ、試験官だからに決まっておろうが」
「試験官!? ……でも、ギルダーツは? 仕事じゃなかったのか?」
「S級試験に参加しろ、ってマスターに呼ばれてな……一旦戻ってきたんだよ」
いいのかそれで……。
「まあ、細かい事はお構いなしで……ゴホン、改めてこれより、S級魔導師昇格試験の説明に移る……寒いから中でな」
まさか2人と戦え、とかじゃないだろうな、と思いながら、俺はマスターの後に続いて、ラクサスとギルダーツと共に家の中に入った。
「ぷはー、ここは暖かいのう……」
「あの、マスター。そろそろ説明を……」
入るなり寛いでいるマスターに、俺は若干呆れながら説明を促した。
緊張感保つのも結構大変なんだからな……。
「ん、そうじゃの。……では、説明に入る。まず、試験官のラクサスとギルダーツがこのロケットを持って霊峰ウェルスに入る」
そう言って取り出したのは、一見何の変哲もない2つのロケットだった。
「これは少々特殊での……寒い所で発光し、こちらから信号を送れる仕組みになっておる。……まあ、それはいいとして、じゃ。2人が入った10分後、ワタルもウェルスに入って、2人を探し、どちらか一方のロケットを奪う事が試験内容じゃ。単純じゃろ?」
「……方法は?」
「なんでもよいぞ……そうじゃな、この試験で試されるのは……“武力”と
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