原作開始前
EP.7 ワタルのS級試験(前編)
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った。
「……はい?」
驚いて思わず聞き返してしまった。
最有力だ、とは言われていたが、まだ経験が少ない事と、俺の出自から選ばれないだろう、と思っていたんだけど……。
「参加者は……というかワタルは1週間後にウェルスの麓の村に来ること、よいな?」
「は、はい!」
「ん、よろしい。では解散!」
マスターの号令で集まった人は散り散りになっていった。
途中で、選ばれなかった者が悔しがったり、参加者である俺に応援の言葉を掛けたりする者を目にしながら、俺はマスターの元に歩いて声を掛けた。
「マスター、本気ですか?」
「ん? 何がじゃ?」
「いや、何がじゃなくて……」
マスターの元に行ったのは、選考の理由を聞くためだ。
このギルドにいる事はもう迷っていない。だが、俺の出自を知っているのなら、S級というギルドの中核をなす存在に入れるはずがないと思ったのだ。
「だって俺は……」
「ワタル。ワシはこの1年、各々の力と心、そして魂を見極めてきた。お前を選んだのは、それらが十分だ、と思ったからじゃ。まあ、少し若い、とは思ったが……」
「しかし……」
尚も渋る俺に、マスターは笑うと、こう言った。
「ギルドの仲間は家族じゃ。妖精の尻尾には、出自、なんて小さな物で家族を否定するものなど居らんよ」
「ち、小さいって……」
「……とにかく、今更辞退は無しじゃ。まあ、がんばれよ」
「……」
黙った俺に対し、マスターは溜息を吐いて、少し周りを見ると、声を潜めて言った。
「……ここだけの話じゃが……ラクサスの奴、S級に上がってお主に祝われた時な……嬉しかったんじゃと……」
「!」
知っての通り、素直じゃない奴じゃろ? と言ってマスターは続けた。
「『だから、今度は俺がアホ面拝んでやる』って言っての……。あいつが認めたのは同年代だと、お前さんぐらいの物じゃ……だから、アイツの期待を裏切らんでやってくれ」
これはアイツには内緒でな、と言ったマスターの顔は……どことなく寂しそうだった。
自分の孫なのに、俺にその期待を託すっていうのはどんな気持ちなのだろうか?
俺には分からなかったが……出自がどうとかで悩んでいた自分を殴り飛ばしたくなった。
「……分かりました。やるからには、絶対にS級に上がって見せます!」
「……うん! その意気じゃ、頑張れよ」
「はい!」
そう言うと、一礼してからマスターの元を去って、エルザ達の元へ歩いて行った。
「マスターと何を話してたんだ?」
「ん? そうだな……」
エルザの問いに、俺は少し考えると……こう言った。
「男同士の秘密、かな」
何だそれは、と言っ
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