第一幕その四
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であるというのはわかります」
「どうしてですか?」
「その瞳です」
従者はチェネレントラの瞳を見て語った。
「瞳が」
「そうです。私は師に言われました。人を見るにはその瞳を見よ、と」
「はい」
「貴女のその瞳はとても綺麗で澄んでいる。心根の汚い者はそんな瞳は持ってはいない」
「そうでしょうか」
「私はそうだと思います。ですから私は」
「私は」
続きを語ろうとした。だがここでそれぞれの部屋から二人の姉達が出て来た。
「ねえチェネレントラ」
「ん!?」
従者はそれを見て顔を上げた。そして二つの部屋をそれぞれ見た。
「ちょっと来て」
「こっちも」
「はい」
チェネレントラはそれに従い部屋に向かった。一つが終わればもう一つに。まるで小間使いのようであった。
「ふむ」
従者はそれを見ながら考えていた。その目はチェネレントラから離れることはない。
「あの瞳からは唯ならないものを感じる。何という美しい瞳か。そしてその姿も」
粗末な服を着て汚れてはいるが彼にはしかと見えていた。彼女の美しさが。だからこそ彼女から目を離さないのであった。
「素晴らしい、何と素晴らしい娘なのだ。是非私の妻にしたい。しかし」
彼はここで屋敷の中を見回した。
「マニフィコ男爵は何処だ。確かいる筈だが」
「従者殿が来られたようだな」
「はい」
ここでマニフィコの部屋の奥から声がした。そしてチェネレントラに案内され彼が姿を現わした。二人の姉達はその後ろについた。
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