暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜絶望と悲哀の小夜曲〜
デッド オア アライブ
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まらなそうなものに変わった。
「こんなもんか」
背筋に悪寒が走った。
――何、今の………
そんな思考が、泡のように現れては消えていく。
そこで、やっとあたしは気付く。少年の影になって見えなかったが、少年の向こうには眼を失った痛みに吠え猛る異形の影が一つ。だが、先ほどはあれほど大きく見えた醜いイモムシは、今はとても小さく見えた。体を縮ませて怯える、小さな小動物のように。
そして、ヒュンという微かな音をあたしの耳は捉えた。恐らくあの凶悪なワイヤーをしまった音だろう。
少年は振り向く。
――殺される!
なぜか知らないがそんな思考が閃光のように頭に現れ、身体が本能的に回避行動に出る。
だが身体は思うように動かず、結果としてぺたんと尻餅をついたようになってしまった。呼吸が無駄に荒くなる。
「はッ………あっ……!」
あたしの恐怖の対象がイモムシではなく、自分に向けられたものだと少年は気付いたようだ。
闇色の瞳がそっと伏せられ、長めの前髪の向こうに消える。口元は漆黒のマフラーに隠れて見えない。
あたしと少年の時間が一瞬止まった。
その時だった。
隅のほうでうずくまっていたイモムシの口から、大量の糸が噴出したのは………
ブッシュゥァぁアアァァァー!!
炭酸の抜けたような音とともに、狂ったようにイモムシは糸を吐く。
上に……すなわち自分に………。
口から吐き出された糸は、しゅるしゅると毒々しい黄色の体に降り積もって覆っていく。
「………チッ!」
レンはおもむろに舌打ちして腕を振るう。その腕の動きの延長線上に凶刃が現れる。凶刃は、足元の葉っぱを切り裂きながらも瞬く間にイモムシに達した。
その凶刃はたちまち、その糸に包まれつつある体を八つ裂きに―――
だが、その期待はまたしても破られた。
バシィイーンという轟音と、徐々に白くなりつつある巨体の上に浮かび上がる紫色のウインドウ。
【Immortal object】の表示…………
「な……なんでッ!どうしてっ!?」
あえぐように言ったあたしの声に答えたのは、どこか苦虫を噛んだようなレンの声だった。
「リズねーちゃん聞いたことない?」
「え?な、何を?」
「大型虫型モンスターの中には、まれに戦闘中に変態するヤツがいるんだよ。二十七層のボスがそうだったように」
「へ、変態?」
「そ。例えばチョウチョがサナギになって成虫になるようにね」
「……ああ、そっちの変態か」
勝手に勘違い………。恥ずかしい。
「んで、何でか知らないけど、この変態が始まると結構な待ち時間が課せられるんだよ」
「……
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