第一幕その三
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も全ては御前達次第じゃ」
「ええ」
「わかってるわ」
二人は真剣な顔になってそれに応えた。
「安心して御父様」
「きっと私がお妃様に」
「何言ってるのよ、それは私よ」
「私よ」
「まあよい」
マニフィコはそんな娘達を宥めた。それから言った。
「それで王子は来られるのか」
「先程使者の御一行が来られたけれど」
「ふむ、ではもうすぐじゃな。わしは運がいい」
彼はそう言ってにやけた顔になった。
「王子様にお目通りが適うのだからな。それだけではなく」
「私がお妃に」
「私が」
ここでも二人はいがみ合う。姉妹であるが妙に滑稽な光景ではあった。権勢の前には血の?がりなど無意味ということなのであろう。
「あの王子様がわしの娘をお妃に迎えられる。夢が現実となるのだ。チェネレントラ」
「はい」
彼はここでチェネレントラを呼んだ。
「コーヒーを。とびきりのをな」
「わかりました」
コーヒーを奮発した。暫くしてチェネレントラがコーヒーを一杯持って来た。
「どうぞ」
「御苦労」
それを悠然としたような動作で受け取る。そして一口飲む。
「ふむ」
あえて大人の風格ぶった仕草をする。それから二人の娘達に顔を向けた。コーヒーのカップと皿は持ったままである。
「我が愛する娘達よ」
「はい」
「この屋敷は見ての通り半分壊れておる。後の半分も壊れかけておる」
「はい」
「それを救い、つっかえ棒になるのが御前達の役割だ。それはわかっておろうな」
「無論でございます」
あまりそうは見えないとはいえ彼女達もまた貴族の娘である。家がどれだけ重要であるかはわかっていた。家柄なくしては貴族ではないのである。
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