第5話 紅き瞳
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そんな俺を見つめながら、ひとつ首肯く長門。
尚、その約五分後。長門の部屋の洗面所に、俺の驚きの声が響くのですが。
☆★☆★☆
ひんやりとした彼女の指先を目蓋に感じながら、強制的に長門を見つめる事となった俺。
少なくとも、彼女が傍に居るのは心地良いのですが、どうも、彼女を見つめるのは、慣れないのですが。
ただ、これは、俺が頼んだ事なので、仕方がない事なのですが。
しかし、左の目蓋と目の下に触れていた長門の指先が離される。
そして、首をゆっくりと横に振る長門。
「原因不明、と言う訳か」
少し顔をしかめながら、頭を掻く俺。確かに、俺は強制的に次元移動をさせられていますし、更に、長門と契約した後に、この左目は血涙を流すような事態に陥っているのです。今更、左目だけが血の色に染まったとしても不思議では有りませんか。
俺の、ため息とも、独り言とも付かないその呟きに、律儀に首肯いて答えてくれる長門。
但し、少しの陰気を放っていたのですが……。
そう。現状の俺は、右目はそれまで通りの少し薄いこげ茶色の瞳だったのですが、左目は淡い血の色へと変わっていたのです。
しかし、左目だけが急に先天性色素欠乏症に成る訳はないですし、まして、俺は、コンタクトなど嫌いなので入れた事は有りません。
本来なら、俺の裸眼視力はメガネが必要なぐらいには悪いのですが、メガネを掛けた際の異物感に我慢が出来ない為にメガネを掛ける事もなく、すべて仙術で補っている人間です。
そんな人間が、コンタクトレンズを使用する訳はないでしょう。
「しかし、妙なオッド・アイの少年と化したと言う事ですか」
かなり呆れたと言う雰囲気で、大きく息を吐き出しながら、そう呟く俺。
普通、虹彩異色症と言う特徴には、絶世の美少年とか言う設定の付属として付いて来るものなのですが、俺は非常に平均的な外見しか持ち得ない人間なので……。
似合わない事この上ない、と言う感じですか。
俺を、少し陰気の籠った瞳で見つめる長門。これは、俺にオッド・アイと言う追加の設定が似合っていない、と思っている訳では無く、彼女と交わした契約が、この変わって仕舞った瞳の原因だと思っていると言う事。
「心配する事はないで。確かに、この瞳の原因が長門さんとの契約に有ったとしても、それは、今、起きている異常事態を解決したらこんな状況は即座に解決するから」
それに、その結果、俺がこの世界に島流しに成っている原因も判ると思います。更に、長門の造物主やバックアップとの連絡が途絶えている原因にも到達する事が出来るでしょう。
すべてが偶然同時に起きた、別々の事態とは思えませんから。
「未だ、オマエさんの造物主や
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