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チェネレントラ
第五幕その二

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第五幕その二

「それに耐える日々が続きました。・・・・・・けれどそれはほんの一瞬のことでした」
「そう、ほんの一瞬のことでした」
 アリドーロがやって来てそう言った。
「全ての苦しみは一瞬のことなのです」
「先生がいつも言われていることですね」
「はい」
 彼はラミーロにそう答えた。
「しかしそれに耐えることこそが肝心なのです。そうですね、お妃様」
「ええ、その通りだと思います」
 優雅に微笑んでそう答える。
「素晴らしい魔法の力で花の歳に私は生まれ変わりました。まるで稲妻の様に」
「それに立ち会えたのは何という幸運だったのでしょう」
 ダンディーニもやって来た。
「私達も共に生まれ変わることができましたから」
「私もですか?」
 マニフィコが小さな声でアリドーロに尋ねた。
「私達もでしょうか」
 ティズベとクロリンデもであった。彼等は不安そうな顔でアリドーロに尋ねていた。
「勿論ですよ」
 彼は笑顔で三人にそう答えた。
「ですから今この場におられるのです。それに先程のあれです」
「あれですか」
「はい」
 彼はここで先程の真珠について言及した。
「あれこそが貴方達の改心の証。これで貴方達はお妃様と本当の意味で家族となったのです」
「本当の意味で」
「はい」
 彼は答えた。
「それは貴方達御自身が最もよくわかっておられると思いますよ」
「確かに」
 三人はそれを聞いて頷いた。
「そう言われればそうだと思います」
「そうでしょう」
「では私達も貴方達の中に入って宜しいでしょうか。お妃様をお祝いする為に」
「当然です」
 アリドーロは我が意を得たとばかりに笑みを作ってそれに応えた。
「その為に貴方達はおられるのですから」
「ならば」
 三人もチェネレントラの周りに来た。そして彼女を取り囲んだ。
「これからも宜しくお願いします」
「喜んで」
「それでは皆さん」
 アリドーロがその場にいる一同に対して言った。
「これから心ゆくまで祝うとしましょう。これから続く永遠の幸せを祝福する為に」
「はい!」
 シャンパンの栓が放たれた。そしてそれで部屋も人も濡らす。
「うわっ!」
 ラミーロにもチェネレントラにも、そしてマニフィコ達にもそれは放たれた。そして皆喜びの美酒を味わうのであった。


チェネレントラ   完


                   2005・3・26

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