第4章 聖痕
第46話 イザベラ登場
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六月 、 第四週、マンの曜日。
湖の乙女と名乗る少女との出会い。そして、夢の世界での微妙に心の何処かに触れる少女との邂逅の翌日。……ユルの曜日に、魔法学院の異常事態は起きた時と同じ唐突さで解除されたらしいです。
そして、その後の調査でも、あの異界化現象が起きた原因は不明。異界化現象に巻き込まれた学院生徒や教師達も、何かが起きていた事さえ知らないような状態で眠っていたようです。
果たして、あの俺が巻き込まれた夢の世界と、魔法学院を覆った闇色のドームにどんな関連が有るのか判りませんが……。しかし、無関係と言う訳はないと思いますね。
それで、現在は学院の方には帰らずに、未だモンモランシーの屋敷の方に厄介に成っている状態なのですが。
時刻はそろそろ午後の十時。タバサは俺の隣の天蓋付きのベッドで、うつ伏せに成った状態で和漢の書物を紐解いています。
そんな、タバサのページを捲る音のみが支配する室内で、俺は、自らの右手首を見つめる。
其処には、……紫色に変色した生け贄の印が存在していた。
右手首。左手首。左わき腹。右足首。終に四ヵ所にまで刻まれた生け贄の印。但し、未だに、この生け贄の印の意味は判らないのですが。
ただ、同じ形をしたものは同じ性質を持つと言う魔法。地球世界の救世主と同じ能力を持つと言う魔法。
もし、そう言う種類の呪が、この傷痕に籠められているのなら。この世界は滅びに瀕している可能性が有るのですが。
何故ならば、彼の救世主は、世界中の人間の原罪を背負って十字に掲げられたはずですから。
其処まで考えてから、仰向けに倒れ込むようにベッドに横に成る。
瞬く事のない光に照らされた天井を自らの瞳に映しながらも、思考はまったく別の世界を漂う。
いや、光も波であるのは間違いない以上、例えそれが魔法に因り発生した光で有ろうとも、まったく瞬く事がない訳は有りませんか。
ティンダロスの猟犬。魔女の守護者ヘカテー。影の国の女王スカアハ。湖の乙女ヴィヴィアン。こうして並べてみると、最初のティンダロスの猟犬以外は、何か繋がりが有るような雰囲気も感じるのですが……。
そう思い、無為に見上げるだけであった天井から、我が主。蒼き姫の方向に視線を移す。
そう。最初のティンダロスの猟犬の時は、タバサの身を護る為に。
次は、ヘカテーの依頼により、ショゴスに囚われたタバサの精神体の救出の時に。
三番目は、カジノ事件の際に介入して来たスカアハに、何処かの少女を救ってくれと言う依頼を受けた時に付けた傷痕。
そして最後は、湖の乙女に依頼されて、俺と縁を結んだ事の有る少女の救出の時に。
いや。こう考えてみると、違和
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