第四幕その四
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は二人にそうすげなく返した。
「他の仕事に就く気はありません」
「フン」
「調子がいいんだから」
「ははは」
ラミーロはその一部始終を見ていた。そして話が終わるのを見届けてから静かにこう言った。
「もういいか」
「あ、はい」
これに一同畏まった。彼はそれを見届けるとまた口を開いた。
「それでは今ここに宣言する」
「はい」
「私はこの女性を生涯の伴侶とする。よいな」
「是非ともそうなさいません」
「殿下とお妃に神の御加護があらんことを」
「うむ」
アリドーロとダンディーニの祝辞に微笑みを以って答える。そして今度はチェネレントラに顔を向けた。
「宜しいですか」
「お待ち下さい」
だがそれでも彼女は首を縦に振ろうとはしなかった。
「どうしてですか。約束は果たしたというのに」
「しかし」
「まだ何かあるのですか」
「はい」
彼女は頷いた。そしてマニフィコ達に顔を向けた。
「あの方達が」
「あの者達がどうしたのですか」
ラミーロはマニフィコ達に顔を向けて不思議そうな顔をした。
「彼等が貴女に冷たくしていたことは私も知っておりますよ」
「いいえ」
だがチェネレントラはそれには首を横に振った。
「私はそうは思ってはおりません」
「何故ですか」
それを聞いてさらに不思議に思った。
「今までのことを最もよく御存知なのは貴女でしょうに」
「確かにそうです」
それは彼女も認めた。
「けれどだからこそ、です」
「だからこそ」
「そうです。私はあの方達のことをよく知っているつもりです」
「ふむ」
アリドーロはそれを見てまた微笑んだ。
「私が思っていた以上だな。よくできた方だ」
次にマニフィコ達に顔を向ける。見れば三人は暗い顔をしてヒソヒソと話をしていた。
「参ったことになったな」
「そうね」
「今まで冷たくしてきたし。これからどうなるのかしら」
「これかのう」
マニフィコは両手で自分の首を締める動作をしてみせた。
「お妃様を怒らせた咎で」
「そんな・・・・・・」
「いや、きっとそうなるぞ」
マニフィコはそう言いながら暗い顔をしたままであった。
「今までのことを思うとな」
「そうよね」
娘達もそれを聞くと暗澹たる気持ちになってきた。
「あれだけのことをしてきたのだから」
「きっとね・・・・・・」
「うむ」
「お困りのようですな」
そこへアリドーロが声をかけてきた。
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