第四幕その一
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そして娘達に顔を向けた。
「この働き者に礼を言うようにな」
「ええ」
「有り難う」
「こりゃどうも」
彼は上機嫌でその礼に応えた。そして三人はそれを受けた後で馬車を降りた。そして屋敷の前に出た。
「さて」
マニフィコは馬車が消えると自分の屋敷の門の前で一呼吸置いた。
「行くぞ」
「ええ」
「わかったわ」
何故か娘達もそれに乗っていた。そして二人は何故か自分の家に帰るのに身構えていた。そして屋敷に入った。
「只今」
「お帰りなさい」
すぐに返事が返って来た。それはあの娘のものであった。
「おや」
「ほら」
「やっぱりいるじゃない」
二人の娘は驚いた顔をする父に対してそう言った。
「考え過ぎよ、御父様は」
「確かに似ているけれどね」
「似ている?」
チェネレントラはそれを聞いて不思議そうな顔を作った。
「何かあったのですか?」
「あ、何でもないわよ」
「いいからお仕事を続けてね」
「はい」
チェネレントラはそれを受けて仕事を続けた。見れば掃除をしている。
「昔一人の王様がおられました」
いつものように唄いながら掃除をしている。
「一人でいることに飽きられてお妃様を探すことにしました」
「ちょっとチェネレントラ」
それを聞いたティズベが不満そうな顔で彼女に声をかけた。
「何か」
「いつも言うけれど他に曲ないの?」
「そうよ」
クロリンデも続いた。
「いつもその曲じゃない。他の曲も聴かせてよ」
「そう言われても」
「ああ、もういいわ」
二人はそれを聴いて匙を投げたように言った。
「どのみち貴女にはその唄は合っているんだし」
「声域もね。それを間違えると大変なことになるわよ」
「はい」
そう言われてすこし戸惑っていた。
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