第二幕その五
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おうとした。しかしここで新たな客がやって来た。
「殿下」
マニフィコであった。彼は酒に酔いながら上機嫌で部屋に入って来た。一礼してから入るのは忘れないのは流石に守ってはいたがかなり砕けていた。元々の地であろうか。後ろには先程彼が連れて行った者達がついてきている。皆顔が赤いところを見るとかなり飲んでいるようである。
「宴の用意ができておりますが」
早速仕事に取り掛かっていたようであった。彼にとってはそれが仕事であると共に趣味であるようであった。
「ん!?」
だが彼はここで気付いた。目の前にいる貴婦人のことに。そして彼女に目を奪われた。
「何と美しい」
その顔に見入る。だがここでふと気付いた。
「待てよ」
その顔を何処かで見たと思ったのだ。そして考え込んだ。
「そんな筈はない。彼女は今家にいる筈だ」
「御父様」
そこへティズベとクロリンデがやって来た。二人は父に声をかけた。
「どう思う、あの人」
「おそらく御前達と同じだ」
彼はそれに対してそう答えた。
「あまりにも似ておるな」
「そうよね」
「本当にそっくり」
二人もそれに対して頷いた。そしてまた言った。
「けれどここにいる筈はないし」
「そうだ」
マニフィコはその言葉に同意した。
「しかもあれの服といえばどれも灰まみれでボロボロのものばかりだ」
「間違ってもドレスなんか着れないわ」
「そうよね、何かおかしいわ」
「そうだな」
三人はヒソヒソとそう話をしていた。貴婦人はそれを気付かれないように横目で見ている。
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