第五十九話 怒りの強念者
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「全く。だから御前は」
こうは言ってもそれ以上は言わなかった。マシュマーも彼のことはわかっていたからだ。彼等も戦いを続ける。正面からの激突は次第に質で勝るロンド=ベルの優勢となっていた。
「ううむ、相変わらずの強さよ」
「手前もな!」
バランはトウマと闘っている。その中で話をしていた。
「けれどな。俺達はここで負けるわけにはいかねえんだよ!」
「母星の為か」
「そうだ、そして皆の為」
トウマは言う。
「負けるわけにはいかねえんだよ!」
「ほう、さらに成長したな」
バランは今のトウマの言葉を楽しげな笑みで受け取った。
「面白い。では今日はこれまでとしよう」
「何ィ、帰るのかよ!」
「その通りだ。こちらの戦力は最早貴様等の相手になるものではない」
そこまでやられていたのだ。冷静な戦局分析ができないバランではない。
「だからだ。これで帰ろう」
「勝負はお預けってわけかよ」
「その通りだ。ではまたな」
「やいバラン!」
トウマは退くと言うバランにさらに言う。
「何じゃ、今度は」
「今度こそケリをつけてやるからな!覚悟しておけ!」
「その言葉そのまま貴様に返そうぞ!」
バランもバランでこう叫ぶ。
「また来る!楽しみにしておれ!」
こう言い残して戦場から姿を消した。ロンド=ベルは勝利を収めた。しかしこれで話が終わったわけではなかった。ロンド=ベルの面々にとっては。
「それでどうなんだ?」
「ブリットのことね」
「ああ、そうだ」
カイがラトゥーニに対して答える。
「大丈夫なのか?」
「命には別状はないわ」
ラトゥーニはこう答えた。
「けれど」
「傷は深いか」
「ええ。クスハも必死で看病しているけれど」
「起き上がれそうにもないか」
「暫くは。それで」
「クスハも消耗しているな」
精神的にもだ。それが問題だったのだ。
「休ませるべきだが」
「言っても聞かないの」
ラトゥーニは首を横に振った。
「どうしても」
「あいつにしては珍しいな」
「気持ちはわかるわ」
ガーネットが言う。
「あたしだってね。そんな時は」
「そうだよな。俺もだ」
ジャーダもそれは同じだった。
「若しそうなったらな」
「だが。このままではクスハもだ」
それもカイはあくまでクスハを気遣う。
「何とか休ませなければならないのだが」
「しかし今はどうしようもない」
ギリアムはそれはもう諦めていた。
「今はな。クスハの好きなようにさせておけ」
「それしかないのか」
「そうだ。今はそっとしておくことだ」
「・・・・・・仕方ないな」
カイもそれに従うことにした。遂に。
「それならばな」
「じゃあせめて」
ラーダが言う。
「彼女が疲れないようにしましょう」
「そうだな、俺達ができることは
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